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肉食ナベコの「なんでも食べてみる」 第902回

なんと、のりがセパレート

たらこスパゲティ発祥の店「壁の穴」の元祖「たらスパ」が変わった! う、うまい…!

2023年11月27日 20時25分更新

文● ナベコ 編集●ASCII

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 日本には本場イタリアにはない和製スパゲティ(パスタ)が多数あります。代表格のひとつは「たらこスパゲティ」。ファミリーレストランやカフェ、コンビニメニューなど様々なところで定着し、多くの人に親しまれていますね。

たらこスパゲティの発祥は「壁の穴」の渋谷本店

みんな大好き「たらこスパゲティ」ですが、元祖は?

 では、たらこスパゲティはどこで誰が生み出したのでしょう? 1953年創業のイタリアンレストラン「壁の穴」がその元祖だと言われています。

「壁の穴」の店舗名は、シェイクスピアの有名な戯曲「真夏の夜の夢」に出てくる言葉 Hole inthe Wall(壁の穴)から

 創業当初、日本では、まだイタリア料理はなじみが薄かったため、創業者の成松孝安氏は、日本人にとって身近なものとスパゲティを掛け合わせて研究。「納豆」「うに」などを使用した200種類以上のスパゲティを考案したことから、「和風スパゲティの元祖」とも呼ばれたんだとか。

 たらこスパゲティが生まれたのは、1963年に店舗を創業地の西新橋より渋谷へ移転してから。とある日、常連客のリクエストによりキャビアを使用したスパゲティを作ったところ、あまりにおいしかったため“キャビアスパゲティ”を定番メニュー化できないかと考えたのですが、当時から高価であるキャビアは予算的にNG。そこで代わりに、当時「赤いダイヤ」とも言われた“たらこ”を使用してしてメニュー化。

 のりをトッピングしたおなじみのスタイルも壁の穴からスタートしています。

隠し味に和の素材の「昆布粉」を使用しているんだとか

 以来、壁の穴では看板メニューのひとつとして「元祖たらこスパゲティ」を発売。また、たらこスパゲティを基点に、明太子スパゲティや、季節の食材を使用した限定メニューも展開しています。

総料理長の柳田慎一さん

元祖たらこスパゲティがリニューアルしました!

 そんな壁の穴のたらこスパゲティが、11月27日に大々的にリニューアル。

新発売「“極上”元祖たらこスパゲティ」(1408円)

 新しくなった「“極上”元祖たらこスパゲティ」は、それぞれこだわり抜いた、たらこ、のり、バターを使用しています。

なんと、のりが別添え

 たらこは厳選したたらこを2種類使用。大粒のたらこと、小粒のたらこを使用することで、大粒たらこのプチプチした食感と、密度が濃い小粒たらこの濃密な味わいの両方が楽しめるように工夫したんだとか。

知る人ぞ知る山中牧場の発酵バター

 バターは北海道・山中牧場の「プレミアム発酵バター」。原材料に生クリームを贅沢に使用し、昔ながらの製法で時間をかけて作った山中牧場の発酵バターは、その芳醇な香りとコクから菓子職人などプロにも注目されています。今回は、そんな貴重なバターを使用。

福岡県有明産の一番摘みのり

 最後は、別添えにした、のり。

 こちらは、福岡県有明産の一番摘みのり。有明のりと言えば質の高さで有名ですが、その中でも、干満の差を最大限に活かした「支柱式」と呼ばれるやわらかさや旨みを引き出す養殖方法で生産したものを使用。また、初摘みであるため、香り豊かで口どけもよいとのこと。

のりだけで食べるのもよし、好きなように楽しむ

 最初からスパゲティの上にのりがのっていると、のりのパリパリ感が次第に損なわれてしまうことを懸念したのと、スパゲティの味とのりの風味を、それぞれに十分に楽しんでもらいたいという思いから今回がセパレートにしたそう。

 元祖和風スパゲッティのお店として、日本の食材である“のり”にとことんこだわったという経緯もあるそうですよ。

 お店で出てくるたらこスパゲティで、のりが別添えにしてあるってちょっと珍しいですよね。歴史あるお店が元祖メニューのスタイルを変えてくるとは革新的でびっくり。

まずはのりだけで

 まずはのりをそのままかじってみて、のりの香りや風味を楽しんでみました。う~ん、磯の磯の香りが豊かに立ちのぼって、なんとも心が清々とします。

あえて大きめにちぎってみました

 次は大きめにのりをちぎってたらこスパゲティに。

口どけがよくスパゲティに絡みます

 のりが柔らかく口どけもいいので、スパゲティにもよくなじみます。もちろん、のりをかけずにたらこスパゲティだけで楽しんでもオーケー。

スパゲティだけで味わうのもよし

 たらこがプチプチと小気味よい粒感。リッチなバターがコク深くも爽やかで、クドくなく、素材の旨みが引き出されているたらこスパゲッティ。「高級なたらこスパゲティだ」と少し身構えて食べたけど、たらこそのものの素直なおいしさに溢れていて、丁寧にまとまっていました。みんなの想像の中にあるたらこスパゲティを裏切らない懐かしさと、こだわりを感じる素材で、ほっこりと幸せな気分にさせてくれます。予算が許せば毎日足を運びたいくらいです。

リニューアル前はもみのりでした

明太子スパゲティもあります

新発売「“極上”元祖明太子スパゲティ」(1408円)

 また、明太子を使用して、同様に極上のバターで作り上げ、こだわりの“のり”を添えた「“極上”辛子明太子のスパゲティ」も同時発売。

 こちらはピリリと辛くて白ワインを一緒に飲みたくなります。

やはりのりがセパレート

のりを自分の好みの大きさにちぎっていただきます

磯のいい香り!ピリリとした明太子とリッチなバターのそそる組み合わせ。添えてあるレモンをしぼると爽やかにいただけます

 新しくなった、“極上”元祖たらこスパゲティと“極上”明太子スパゲティはいずれも1408円。リニューアル前より330円値上げしています。

 少し高価になりましたが、半世紀以上、たらこスパゲティに取り組んできたお店が生み出す極上のたらこスパゲッティに、感激すること間違いなし。たらスパ好きな人はぜひ足を運んでみてほしいです。
 

■取材店舗
壁の穴 渋谷道玄坂小路本店
(東京都渋谷区道玄坂2-25-17カスミビル 1F)

※新メニューは壁の穴全11店舗で提供

■関連サイト


ナベコ

酒好きライター、編集者。酒活動しています。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に参戦するなど。ホットカーペットが気持ちよすぎて床で寝おちして朝陽で気が付く日々。せっかく年始におろしたパジャマを着ないと……。
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