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伊藤園がAIタレントを使ったワケ

2023年11月09日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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反響の大きさに「私自身も驚きました」

── CM作りはどう進めていったんですか? キャラクターの設定を作ったりしたんでしょうか。

 カテキン緑茶は「健康的な未来のために」という商品なので、健康的、活動的、先進的というイメージをタレント像として組み入れようということで制作に携わっていた人と意思を統一しました。それをコンセプトにAI生成をしていくと、まあ結構な数ができるんですよね。そのなかでコンセプトに合っているものを選びました。キーワードは想定していたんですが、明らかにそうではないようなパターンも出てくるので、そこはちょっと監督とかクリエイティブの方に間引いていただいて。パッケージと同じかもしれませんけれども、こうでもない、ああでもないと。人の顔の話なので「それはあなたの意見じゃないですか?」という話もあったんですけれども。最終的にはある程度絞ったなかで、今回CMを見てもらいたい30〜40代の方々にも意見を聞きながら決め込んでいきました。あとはよりリアリティを増すために、クリエイティブの方が、目の位置や鼻の大きさなどをちょっとずつ調整しています。

── キャラクターの名前はないんですか?

 名前はまだないですね。そもそもタレント活動を想定していなかったので。

── そしてキャタクターを30〜40代の設定にして未来の姿を描いたわけですか。

 30年後(60代)の女性像を描きました。明るく素敵な未来を生きている女性像を描いた形ですね。ただ、別人に(お茶のペットボトルを)渡しているように見えてしまうと困るので、もともとの30代の像からかけ離れてはいけないというところを中心に調整されたという感じです。

── 9月の発売時、CMが放送されたときの反響は?

 正直、最初はそこまで多くの方から声をもらうということはなかったんですが、それでもやはり調べていただいた方はいらっしゃって。SNSの反応を見ていくと驚きの声が多かったです。

── 翌月、ニュースになって一気に話題が広がりました。

 もともといただいていた声が、ものすごい勢いで拡散したという感覚でした。声は驚きの声が多かったと思います。インフルエンサーの方が取り上げていただいたことで、ウェブ記事が上がって、AIに関して様々なコメントをいただいたりしました。ただ、もともとAIタレントということで仕込んでいたわけではまったくなかったものですから、ここまで色々反響をいただけるということに対しては私自身も驚きました。もちろん旬なワードだとは認識して進めていたのですが、火がつくとここまでになるのかと……。

── CM放映時、伊藤園さんの公式サイトには記載がありましたが、リリースにAIタレントについての記載はありませんでした。

 今回、あえてAIタレントをフィーチャーして放映していくことはまったく考えていなかったんです。あくまでも冒頭に申し上げた目的を達するために用いた手法でした。AIタレントを使ったCMですと、いう訴求の仕方はまったく考えていませんでした。ただ、CMを見た方が「あれ誰なんだ?」と疑問に感じたときの答えは用意しておかないといけないと思ったので、カテキン緑茶の公式サイトに「AIタレントを使ったCMです」と書いていたんです。

 AI modelさんについては我々の仕事を一緒に取り組んでいただいた仲間ですので、「今回の取り組みを社内でリリースしてもらっていいですか?」という質問を受けたときに、AI modelさんのご意思として出してもらいたいとこたえた形です。

── CM放映後、売上には影響したんでしょうか?

 (報道で)取り上げていただいたのが先々週くらいなので、これから徐々にというところかと思います。ただ、見ていると「AI×伊藤園」というとらえかたをしていただいている人が多くて、「AI×カテキン緑茶」という風にはなっていなくて……。これをきっかけに手に取っていただいて、「あ、おいしいじゃん」と継続買いをしていただければ。本来の目的はそこだったものですから、そういう風になっていただけると非常にうれしいです。

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