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2025年1月から義務化される健診やストレスチェックの電子申請にも対応

「freee人事労務|健康管理」登場 健康診断とストレスチェックを効率化

2023年09月27日 10時00分更新

文● 指田昌夫 編集●大谷イビサ

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 freeeは、新サービス「freee人事労務|健康管理」を10月31日から提供開始する。同社は9月にオンラインで、本サービスの内容を説明する報道発表会を開催した。企業の義務となりつつある健康管理やストレスチェックなどの課題を効率的に解決する。

freee HRプロダクト本部 新規事業開発室 マネージャー 伊関洋介氏

従業員50人以上の企業が負う健康管理の義務

 労働安全衛生法により、企業が従業員の安全や健康を管理する義務は年々増加している。中小企業の場合、従業員数が1~49人までの場合は、健康診断(健診)と医師の意見聴取という義務しか課されないが、従業員数が50人以上になると、管理対象は大きく増える。

 従業員50人以上(アルバイトを含む)の企業では、産業医の選任、衛生管理委員会の選任と開催などに加え、健診や従業員のストレスチェックの実施、そして、それらの結果を労働基準監督署(労基署)へ報告する義務が発生する。

50人を超えるとさまざまな義務が発生

 freee HRプロダクト本部 新規事業開発室 マネージャーの伊関洋介氏は、「2025年1月から、健診やストレスチェックの報告は電子申請が義務化されます。当社サービスのお客さまに対して行なったアンケートでは、特に従業員51人~100人の企業で、この義務の内容を正しく認識していない事業所が61.3%に上っています。義務化に向け、対応を迫られている状況です」と語る。

 健康経営は、国への報告義務という視点だけでなく、企業の成長にとっても不可欠な要素である。ジョンソン&ジョンソンがグローバルの11万4000人の従業員に健康増進プログラムを実施した結果、1人あたりの投資額の3倍のリターンが得られたという。

 また日本でも、上場企業の中で「健康経営銘柄2021」に選定された企業の平均株価は、東証株価指数(TOPIX)に対して大幅にアウトパフォームしている。従業員の健康管理は、企業が積極的に行なうべき重要テーマと言える。

 しかし、企業の労務担当者にとって、健診とストレスチェックの案内やフォローが大きな負担となっている。

健康診断とストレスチェックはフローが多い

 従業員の基本情報は人事労務データベースで管理していても、健診は、従業員の年齢や性別によって、対象となる受診する項目が異なる。そのため多くの企業では、従業員別の健診情報を表計算ソフトなどで管理し、個別管理しているのが実態である。

 また、従業員に対する健診などの案内や、正しく受信しているかの確認も、メールなどを使って担当者が個別に行なっている。従業員の誕生月に合わせるなど、健診の案内は1年を通じて行なう場合も多いため、担当者は常時この作業に追われることになる。

 さらに、受診後の結果は紙で届くことがほとんどであり、労基署への報告も、すべて手作業で入力し、集計する必要がある。従業員50人を超える程度の小規模企業にとって、専任担当者が少ない、あるいは兼任の状況でこれらの業務を行なうのは大きな負担である。

集計結果はe-GovのAPIで労基署へ電子申請

 こうした状況に対応すべく、freeeでは新たに健康経営を推進する「freee人事労務|健康管理」を開発した。freee人事労務|健康管理では、健康診断、ストレスチェックの義務化に対応し、事前準備、実施、事後措置、報告のすべての業務を効率よく進めることができる。

 まず、freeeの人事労務マスターのデータと連携し、従業員の中で健診、ストレスチェックの対象になる人を自動的に抽出、案内のメールを送信する。メールは初回の案内、受信しない人への督促など、段階に応じて使い分けることができる。

 従業員の受診状況は、専用のダッシュボードで管理が可能だ。さらに、集計結果を政府が提供する「e-Gov」のAPIを通じて、労基署へ電子申請することができる。「国への電子申請の仕組みは業界初」と伊関氏は話す。

 またストレスチェックについては、厚生労働省が推奨する「57項目」「80項目」の2タイプの設問に対応し、従業員はPCのほか、スマートフォンでも回答することができる。「ストレスチェックの設問を英語で表記して回答できる機能も搭載しており、外国人の従業員を抱える企業でも導入できます」(伊関氏)

スマホでの入力画面

 ストレスチェックの受検した結果は、管理者がダッシュボードで管理できるだけでなく、本人にもストレス状態を表示し、ストレスを減らすアドバイスを受けることができる。

 本会見で伊関氏は、先行ユーザーの声を紹介した。freeeユーザーである山口建設コンサルタント(山口県)は、2024年度に従業員数がちょうど50人を超える見込みで、従業員の健康管理にかかるリソース不足を懸念していた。freee人事労務|健康管理をテストしたところ、スマートフォンで従業員自身が入力、閲覧できる機能などに魅力を感じ、本サービスを利用する予定だという。

 なおfreee人事労務|健康管理は、既存のfreeeユーザーがそのまま利用できるサービスではなく、別途対象ユーザー(管理対象)の従業員数を申し込むことで課金される。サービス利用料は、1ユーザーあたり月額300円となっている。今後は、月に1回社内で行なわれる「衛生委員会」の議事録作成や、会議資料の作成を支援する機能などを追加する予定だ。

 中小企業の経営にとって、貴重な従業員が健康で活躍できることは最優先の課題である。健診管理の効率化を図る本サービスは、特にfreeeユーザーにとって、かなり優先順位の高い投資なのではないか。

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