文部科学省、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を公表(7月5日)
これは教育に関わらない方も一読をお勧めする。否定論でも肯定一辺倒でもない、非常に妥当な内容だ。特に、「ファクトチェックの習慣づけ」「感性・創造性を引き出すことを目的とした教科では安易に使わせない」といった部分は、大人でも重視しておきたいポイントだ。
グーグル、AIモデル学習のため
「ウェブ上の全情報を使う」米国版のポリシー変更(7月5日)
「グーグルがいきなり情報を集めに来た」と考えるとちょっとズレ気味。もともとGoogle翻訳などでは、ネットに公開された情報(一般に公開されている情報源)を学習に使う旨の表記があり、それをBardなどのAIにも拡大したというのが正しい。
これはどちらかというと、「明記せずにネットから情報を集めて学習している」と訴訟などで突っ込まれることへの対策と考えるべきだろう。
ただし、記事もあるように、サービスに与える負荷やサービス内のデータを守るため、クローリング自体を制限する流れもある。サービスがそれぞれ閉じていき、サービサー自体がデータを活用しようとしていく時代ということだろう。
NEC、日本語性能が世界トップクラスの軽量LLMを開発
社内業務で活用開始(7月7日)
日本語に強く、たった130億パラメーター
NECが作った国産LLMの価値(7月10日)
今月前半の注目その1。
日本語特化という部分もあるがモデルサイズを小型化しているところが大きい。モデルの巨大化がLLMの可能性を広げたのだが、一方で、このままどんどん巨大化競争が進んでもビジネス効率は上がらない。単純にコストが上がるだけでなく、運用設備の消費電力も深刻な問題となる。
今後LLMについては、企業でのカスタムモデル運用も増えていくことだろう。だとすると、日本企業にとっては「日本語に強い」「もともとコンパクトでカスタマイズ前提」、さらに「自社環境下での運用が容易」という要素はありがたいことだろう。NECらしいやり方であり、それを実現できる技術力があるところも重要である。
「マジでやばい」ChatGPTでプログラムが実行できる
“コードインタープリター” (7月10日)
今月前半の注目その2。というより、場合によっては今年最大のトピックになりかねない劇的なサービスだ。
内容としては「プロンプトに応じてPythonのコードを書いて実行する」ものだが、ChatGPT内部でそれが完結しており、コーディングがまったくできない人でもデータ解析などの作業ができる。やりたいこととデータだけ用意して命令すればあとはお任せ。結果に応じて命令をチューンしていけば、解析が簡単に完了する。
もちろん「なにをやりたいか」「目的を達成するためになにをやらせるべきか」を理解しておく必要はある。だが、Excelの細かい使いこなしやPythonの知識なしにかなりのレベルまで作業が自動化できるのは圧倒的に便利であり、カルチャーショックでもある。
生成AIはホワイトカラーの仕事を変えると言われているが、その一端が見えてきた感触を強く受ける。
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