モノリシックでもこなれた6nmでコストを下げる
まずはRX 7600のスペックを眺めてみよう。CU(Compute Unit)数は32基、メモリーバス幅128bit、VRAMはGDDR6で8GBと非常にコストを意識した設計となる。そして良くみるとRadeon RX 6650 XT(RX 6650 XT)を、ほぼそのまま使っていることも分かる。だがRX 7600ではアーキテクチャーがRDNA 2からRDNA 3世代へ進化している。
RDNA 3を最初に採用したRX 7900 XTX/RX 7900 XTでは、5nmのGCD(Graphics Compute Die)と6nmのMCD(Memory Cache Die)を組み合わせることでGPUが構成されている。しかし、RX 7600はGCDもMCDもない旧来のモノリシックダイだ。ただこのままだと価格が下がらないのでプロセスルールを価格がこなれた6nmプロセスで製造しているのが、269ドルという価格の秘密だ。
ただプロセスルールが変わってもAV1のハードウェアエンコードやAI Matrix Accelerator(まだ利用方法が確立していないが……)、DisplayPort 2.1対応といったRDNA 3特有の付加機能は漏れなく盛り込まれている。
ようやく利用可能になった「SmartAccess Video」
RX 7600の解禁に合わせ、2022年11月のRX 7000シリーズローンチ以来続報が途絶えていた「SmartAccess Video(SAV)」に新情報がもたらされた。ざっくり解説すると内蔵GPUのあるRyzen 7000シリーズのGPUとRX 7000シリーズを組み合わせた環境で利用できる機能で、動画のデコードをCPU側のGPUに専念させることで、RX 7000シリーズ側は動画のエンコードに集中でき、結果として動画のエンコードが高速化するというもの。ただし動画エンコードを行うアプリ側もSAVへの対応が必要になる。
初のSAV対応アプリとしてAMDが告知したのは「DaVinci Resolve Studio 18.5」のβバージョンだ。原稿執筆時点では最新の18.1系統ではSAV非対応、18.5βでSAV対応となる。

この連載の記事
-
第473回
デジタル
Ryzen 7 9800X3Dと9700Xはどっちが良いの?! WQHDゲーミングに最適なRadeon RX 9060 XT搭載PCの最強CPUはこれだ! -
第472回
sponsored
触ってわかった! Radeon RX 9070 XT最新ドライバーでFPSゲームが爆速&高画質に進化、ストレスフリーな快適体験へ -
第471回
デジタル
8TBの大容量に爆速性能! Samsung「9100 PRO 8TB」で圧倒的なデータ処理能力を体感 -
第470回
デジタル
HEDTの王者Ryzen Threadripper 9980X/9970X、ついにゲーミング性能も大幅進化 -
第469回
デジタル
ワットパフォーマンスの大幅改善でHEDTの王者が完全体に、Zen 5世代CPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズをレビュー -
第467回
デジタル
Radeon RX 9060 XT 16GB、コスパの一点突破でRTX 5060 Tiに勝つ -
第466回
デジタル
Radeon RX 9060 XTは6.5万円でVRAM 16GBのお値打ちGPUになれたか? -
第465回
デジタル
遅れてやってきたPCIe5.0 SSDの大本命、リード14GB/秒超えのSamsung「9100 PRO」を実機レビュー -
第464回
デジタル
Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった -
第463回
デジタル
Ryzen 9 9950X3Dは順当進化。3D V-Cache搭載Ryzenの最強モデルだがクセありな部分はそのまま -
第462回
デジタル
RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー - この連載の一覧へ





