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社員にとってLINE WORKSが欠かせないツールになった理由

年越しそばの繁忙期に出社人数が激減! 出雲たかはしはどう乗り切ったのか

2023年06月19日 10時30分更新

文● 指田昌夫 編集●MOVIEW 清水

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音声とテキストチャットの同時利用でリモート社員とつなぐ

 店舗からの受注にも、注文専用のアカウントを作って、店舗はLINEで注文を送り、社内のLINE WORKSのグループチャットと連携して受注する仕組みを構築した。各店舗には取引先専用のQRコードを印刷したチラシを配布し、同社をLINEの友達に追加してもらうことで、すぐに注文を出せるようになる。注文は24時間受け付けており、同社の事務と配送担当に同時に届く。いつでも注文が出せることと、LINEで注文の履歴が確認できるため、取引先からも非常に好評だ。

LINEから注文できる仕組みを構築し、取引先にQRコードを配布した(画像は出雲たかはし制作のチラシ)

 実は同社では、年間で突出して忙しい12月にコロナのクラスターが発生し、ほとんどの社員が出社できない状況に陥った。その際、LINE WORKSで在宅の社員とビデオチャットを常時接続の状態にして、出社しているわずかな社員との連絡に用いて乗り切った。このことがあって、社員の間にLINE WORKSは欠かせないツールだという認識が広まった。

「当時は、スマホに書き込む時間もないほど忙しかったため、音声入力でテキストチャットをしていたほど。今では思い出したくもない状況だったが、大変なときほど、私を含めた社員全員がさまざまな工夫をして乗り切ることができたのはよかったと思う」(高橋大輔氏)

 今後は、取引先からの注文もLINE WORKSをつかってチャットベースで行なえるようにしていきたいと高橋大輔氏は語る。ただ、自由な会話の中で注文を受けていることの価値が、システム化することで失われないように配慮する必要があると考えている。「注文のついでに交わされる雑談的なやりとりが、実は重要。フリートークのよさと、ボットの効率化を両立させるのがカギだと思っている」

 食品業界におけるDXの必要性について、高橋大輔氏は次のように語る。

「一言で言えば業務効率化、そのためのDXということになる。個人的には、一番の業務効率化は『何もやらないこと』だと思っている。そこで、まず手数を決めて、そのなかでやらないことを決めてから、デジタル化をしていく方針を立てた」

「使えているからいい」と考えるのをやめる

 中小企業のDX支援を通じて数々の業務現場を見てきた、必ず楽しい社の高橋朋恵氏は「何かをしかければいけないというとき、皆、新しいことを始めようとする。その結果、がんばりすぎて自分が忙しくなってしまう。そのときに、本当に全て必要ですかと問いかけると、はっと気づくということも多い」と話す。

必ず楽しい 代表取締役社長 高橋朋恵氏

 高橋朋恵氏は、DXそのものがわからないところと、DXの意味はわかっていても、どこから手を付ければいいかわからない企業も多い、と続ける。

「たとえば、洋式トイレと和式トイレの写真を見せて、どちらを使いたいですか。と訪ねると、ほぼ全員が洋式トイレを指す。しかし、実際に和式トイレを使っているところは、まだ使えるから、このままでも良いと使い続けていることがある」

 このことをDXが進まない企業に置き換えると、「うちは家族メインでやっている会社だから」とか、「社員の年齢が高くてDXを浸透できない」「FAXが不便だと感じていない」「新しいことを社員が面倒がる」などの理由を言うことと同じだと説明する。

「本当にいらないと思っているなら、DXをしなくてもいい。でもそれは、会社のトイレが今でも和式のままなのと同じことではないか」(高橋朋恵氏)

 和式のトイレでも、用を足すことはできる。こまめに掃除をしてきれいにしていれば、まだまだ使えると考えている経営者もいるだろう。でも、社員はそう思っていないかもしれない。古いやり方への慣れが当たり前と思っている企業は、新しい社員も入ってこないのではないかと高橋朋恵氏は言う。

トップが頭ごなしに命じても浸透しない

 LINE WORKSは、インターフェイスがLINEと共通であることから、導入時の敷居は低かったと高橋大輔氏は言う。「PCを使いこなせない高齢者でも、孫とのコミュニケーションにスマホにLINEだけは入れている社員も多い。LINE WORKSは、最初の説明で『LINEと基本的に変わらない』と言うことができるので、他のツールよりも楽に進んだ」

 ただし、いくら操作がわかりやすくても、プライベートのLINEとまったく同じではない。出雲たかはしでも、DXの目的を示すことは重要だと認識していた。そこで、面倒な仕事をITで効率化できることを社員に理解させることに注力した。「これをやったらあなたはどうなる、ということを説明しながら、導入を進めた」(高橋大輔氏)

 LINE WORKSの導入は、全社員を3、4人の小さなチームに分けて進めた。高齢の社員に若いメンバーが教えるなど、コミュニケーションを密にして、取りこぼされる人がないようにチームでの導入を図った。

 加えて、デジタルツールの導入について注意したことがあると、高橋大輔氏は言う。「足し算のように、やらなければいけないことを増やしすぎると、どんなにいいツールでも拒否反応が出る。まずは、これをやらない代わりにこれをやる、という形で、差し引きゼロだということを話しながら1つずつ進めていくことで、効率化を実感してもらった」

 また導入時、最初に決めた運用方法は実は間違っていることがある。そのときは何度でも修正していきながら進めるべきだとアドバイスする。同社ではLINE WORKSが全員に浸透して、ある程度使いこなせるようになるまでに4ヵ月ほどかかったという。

 スタンプやグループチャットをはじめ、オンラインでも、人同士のコミュニケーションを維持できるのがLINE WORKSの強みである。出雲たかはしのDXは、ヒューマンタッチのよさを大切にしながら効率化を模索する取り組みが、これからも続く。

 ワークスモバイルジャパンでは、食品業界向けのLINE WORKS特設ページ内にて、本講演が収録されたセミナー動画を期間限定でアーカイブを配信している。特設ページはこちら

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