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小惑星「リュウグウ」の穏やかな天体衝突の痕跡を発見=名大など

2023年04月25日 06時28分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学や海洋研究開発機構などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星「リュウグウ」の粒子を高分解能電子顕微鏡で詳しく調べ、リュウグウを作る岩石に小天体が衝突した際の温度と圧力の上昇度を評価。これらの粒子が経験した穏やかな天体衝突の痕跡を発見した。

名古屋大学や海洋研究開発機構などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星「リュウグウ」の粒子を高分解能電子顕微鏡で詳しく調べ、リュウグウを作る岩石に小天体が衝突した際の温度と圧力の上昇度を評価。これらの粒子が経験した穏やかな天体衝突の痕跡を発見した。 研究チームは今回、4つの粒子について、透過電子顕微鏡を用いた高分解能観察や電子線回折像により詳しく解析。リュウグウ粒子の主要鉱物である粘土鉱物の一種である蛇紋石やサポナイトにおいて、強い衝撃加熱によって分解・発泡した組織が一切見られなかったことから、これらの粒子は形成された後、一度も500℃以上まで加熱されていないことを明らかにした。 さらに、走査電子顕微鏡による断層の観察では、リュウグウ粒子に見つかった断層構造と新たに発見した高密度の硫化物鉱物から、衝撃波によりリュウグウ粒子に与えられた圧力は約2万気圧であることがわかった。この断層はリュウグウよりさらに小さな天体が高い速度で衝突した際に形成されたものであり、天体衝突で発生する圧力としては、かなり小さな値であるという。 研究論文は、英科学誌ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に2023年4月20日付けで掲載された

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