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業界人の《ことば》から 第532回

VAIOの変革、プレミアムニッチからWindows PCの定番機の領域へ

2023年04月03日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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今回のひとこと

「VAIOは、いつまでもプレミアムニッチに留まったままでいいのか。このままで生き残っていけるのか。そうしたことを考えたとき、VAIOはWindows PCの『定番』を作ることに決めた。これは新しいVAIOの幕開けである」

(VAIOの山野正樹社長)

再始動したVAIOは日本最小のPCメーカーだった

 VAIOが新たな事業フェーズに入った。

 2023年3月29日に開催した「VAIO F」シリーズの新製品発表会で、VAIOの山野正樹社長は「新しいVAIOの幕開けを宣言する」とコメント。「ソニーからの独立後、初めて違った路線の商品を世に出すことにした」と切り出した。

個人向けのVAIO F16

 ソニーから2014年7月に独立し、PC事業を再スタートしたVAIO。ソニー時代には年間870万台もの出荷規模を誇る世界有数のPCメーカーだったが、再スタート時は数十万台の出荷規模に留まる「日本一小さなPCメーカー」だった。

 その規模に応じて、まずは、製品ラインアップを法人向けPCに絞り込み、事業をスタート。徐々に事業を拡大しながら、開発投資を増加し、製品ラインアップを拡大してきた。

 この間も「VAIOらしい」と称されるモノづくりは健在で、その象徴となるフラッグシップのVAIO Zは、2015年2月に新生VAIO Zを投入し、その後、2016年2月には新モデルに刷新。2021年3月には、さらに進化を遂げている。

 VAIOの山野社長は、「お客様のもとに出向いて感じるのは、VAIOが持つ商品力の強さである。安曇野本社にすべてのモノづくり機能が集まり、高い設計品質と製造品質で、こだわり抜いたモノづくりを続けてきたからこそ、他社では真似できないPCを提供してきた。お客様に商品をお見せして、一端を説明しただけで、価値を感じてもらっている。VAIOのエンジニアは、よくこんなことまで考えたなと言われるPCを投入してきた」と胸を張る。

 だが、今回の新製品群はこれまでのモノづくりとは異なる側面を持ったものになる。

 「VAIOの課題はPCに高い付加価値を求めるプロフェッショナル領域にユーザー層が固まっている点にある。プレミアムな商品ではあるが、対象は極めて限定しており、ニッチになっている。いくら商品が良くても、より多くの方にお届けすることができなければ、その価値を体感してもらうことはできない。ボリュームを売ることができなければ、商品のコストも下げられない。VAIOは、いつまでもプレミアムニッチに留まったままでいいのか。このままで生き残っていけるのか。そうしたことを考えたとき、今回の商品コンセプトに行きついた」と語る。そして、「これは、VAIOが成長していくために必要な取り組みであり、最初の一歩になる」とする。

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