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小惑星リュウグウの活発な地質活動の歴史を解明=名大など

2023年03月29日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学と国立極地研究所などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った粒子の組織や組成を調査し、C型(炭素質)小惑星「リュウグウ」の形成過程の詳細を明らかにした。C型小惑星は、原始太陽から遠い場所で形成され、地球に水を供給するなど、太陽近くの惑星の形成過程に重要な役割を果たした天体であるとされている。

名古屋大学と国立極地研究所などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った粒子の組織や組成を調査し、C型(炭素質)小惑星「リュウグウ」の形成過程の詳細を明らかにした。C型小惑星は、原始太陽から遠い場所で形成され、地球に水を供給するなど、太陽近くの惑星の形成過程に重要な役割を果たした天体であるとされている。 研究チームはまず、小惑星リュウグウ粒子が「CI型炭素質コンドライト」に分類される隕石に似ている一方で、ナトリウムに富む物質が存在するなど重要な違いがあることを明らかにした。これは地球上で入手できる隕石では、C型小惑星の破片が落下後、地球環境にさらされて変化したことを意味している。 さらに、リュウグウ粒子の詳細な組織観察から、リュウグウの元になった親天体が生まれた直後、何回も水の関与した地質活動(水質変成)があったことと、天体の衝突による破砕と混合を受けていたことも明らかにした。水質変成はおよそ0℃から150℃の間の比較的低温な環境で起こっており、C型小惑星が形成直後、太陽から遠い低温な場所において活発な地質活動を経験し、その後、衝突と集合を繰り返しながら太陽に近づいていったことを示しているという。 今後さらに研究を進めることで、太陽系誕生当時のC型小惑星の位置付け、地球に落下した隕石の研究だけでは難しかった、地球の水などの揮発性元素の起源に関する研究が進展することが期待される。研究論文は、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に3月20日付けで掲載された

(中條)

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