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業界人の《ことば》から 第531回

AIは自動運転ではなく、副操縦士として歩む

人類とAIの共生への一歩を進めたマイクロソフト、「Microsoft 365 Copilot」の価値

2023年03月27日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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AIのマイクロソフトへと変わりつつある

 マイクロソフトは、2019年7月にOpen AIとの戦略的パートナーシップを発表。それ以来、OpenAIはプライマリークラウドとしてMicrosoft Azureを採用し、OpenAIの大規模言語モデルの開発や学習、アルゴリズムの開発などを共同で進めてきた。

 2023年1月には、両社のパートナーシップをさらに強化することを発表。マイクロソフトは複数年にわたり、OpenAIに対して数10億ドル規模の投資を行うほか、OpenAIの研究を加速させる専用スーパーコンピューティングシステムの開発および展開に投資。AIの進歩を加速させ、そのメリットを世界中で広く共有することに取り組む姿勢を明らかにしている。

 また、マイクロソフトでは、OpenAIの技術を、Power BIやPower Appsなどの同社製品にネイティブに統合していたが、その動きは今年に入ってから加速している。

 2023年1月には、米マイクロソフトのナデラCEOが、「すべてのマイクロソフト製品およびソリューションにAIを組み込む」と発言。それにあわせて、Azure Open AI Serviceの提供開始、ChatGPTのAzureへの実装を相次ぎ発表。2月にはTeams PremiumやViva SalesへのGPT-3モデルの搭載、BingやEdge、Skype向けに対話特化型の次世代AIモデルを搭載することを発表。3月に入ってからは、GPT-4を活用したNew Bingの提供を開始し、これをWindows11から利用できるようにしたほか、Microsoft Dynamics 365 Copilotの発表や、Azure OpenAI ServiceにおけるChatGPTの利用も可能にした。さらに、3月16日には、Microsoft 365 Copilotを発表。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsといった何100万人ものユーザーが、日常的に使用しているアプリケーションでも、ジェネレーティブAIを実装する。そして、GPT-4をAzure OpenAI Serviceに実装することについても正式に発表しており、その詳細は後日発表されることになる。

Microsoft 365 Copilot

 なかでも、Microsoft 365 Copilotの登場は、ジェネレーティブAIを、ぐっと身近なものにする大きな動きになるといえる。

 米マイクロソフト Modern Work & Business Applications 担当コーポレートバイスプレジデントのジャレッド・スパタロウ氏は、「Microsoft 365 Copilotは、大規模言語モデルのパワーと、Microsoft GraphやMicrosoft 365アプリ内のデータを組み合わせ、利用者の言葉を、地球上で最も強力な生産性向上ツールに変える」と語る。

 Copilot in Wordでは、Copilotが提示したドラフトをもとに編集、改良を繰り返して文書を作成。Copilot in PowerPointでは、過去に作成したスライドから関連するコンテンツを追加して、Copilotとの会話のやりとりだけで、美しいプレゼンテーション資料の作成を支援する。また、Copilot in Excelを使うことで、トレンドを分析し、プロフェッショナルなデータビジュアライゼーションを数秒で作成できるようになるという。

 「PowerPointに搭載されている機能は、全体の10%しか利用されていないというデータがある。Copilotが、これらの機能を活用できるようにしてくれる」としたほか、「スライドをアニメーション化するといったように、アプリを横断して作業する方法を理解している。Word文書を、PowerPointのプレゼンテーションに変換することもできる」という。

 さらに、追加されたBusiness Chatでは、日常の業務を強力にサポート。「製品戦略をどのように更新したか、私のチームに教えてください」と自然言語で入力すると、会議の議事録やメール、チャットのスレッドなどに基づいて、ステータスのアップデートが生成されるという。

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