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マグネシウム蓄電池の高エネルギー正極材料を開発=東北大など

2023年02月03日 06時39分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学や慶應義塾大学などの共同研究チームは、リチウムイオン電池に代わる次世代蓄電池「マグネシウム蓄電池」に利用可能な酸化物の正極材料を開発。マグネシウム蓄電池の室温における高エネルギー動作を実現した。

東北大学や慶應義塾大学などの共同研究チームは、リチウムイオン電池に代わる次世代蓄電池「マグネシウム蓄電池」に利用可能な酸化物の正極材料を開発。マグネシウム蓄電池の室温における高エネルギー動作を実現した。 研究チームは、マグネシウム蓄電池の正極材料として有望視されているスピネル(マグネシウムとアルミニウムからなる酸化物の天然鉱物)型のマグネシウムマンガン系酸化物(MgMn2O4)に着目。酸化物正極材料へ高速にマグネシウムを出し入れ可能にするために、酸化物粒子を「ナノ粒子化」して酸化物内部へのマグネシウム移動距離自体を減らすと同時に、酸化物粒子を「多孔質化」して酸化物表面までのマグネシウムイオンの移動経路を十分に確保する技術を開発した。 これにより粒子サイズ2.5ナノメートル(nm)以下、比表面積500平方メートル(m2)/グラム(g)以上の超多孔質極小ナノスピネルを合成することに成功。低温で熱処理し、酸化物表面を活性化させることによって、理論容量となる270ミリアンペア時(mAh)/グラムの放電が室温で進行することを見い出した。 希少金属(レアメタル)であるリチウムの代わりに地球上に豊富なマグネシウムを用いた蓄電池「マグネシウム蓄電池」が、安全・安価な蓄電池として注目されている。だが、マグネシウムイオンは酸化物イオンとの親和性が強く、高速にマグネシウムを出し入れ可能な酸化物正極材料は見つかっていなかった。今回の研究成果は、米国化学会のナノテクノロジー専門誌ACSナノ(ACS Nano)に2023年1月20日付けでオンライン掲載された

(中條)

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