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グラフェン量子ドットの集積化合成に成功、量子ビット応用に期待

2023年01月24日 06時07分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の共同研究チームは、グラフェンをナノメートル幅のリボン構造(疑似1次元化)にした「グラフェンナノリボン」を用いた量子ドット・デバイスを集積化合成する技術を開発。同デバイスにおいて安定な励起準位の観測に成功した。量子ドットは半導体材料が疑似的に0次元構造をとることで発現する量子構造であり、内部の量子状態を活用した量子ビットや発光素子として応用が期待されている。

東北大学の共同研究チームは、グラフェンをナノメートル幅のリボン構造(疑似1次元化)にした「グラフェンナノリボン」を用いた量子ドット・デバイスを集積化合成する技術を開発。同デバイスにおいて安定な励起準位の観測に成功した。量子ドットは半導体材料が疑似的に0次元構造をとることで発現する量子構造であり、内部の量子状態を活用した量子ビットや発光素子として応用が期待されている。 研究チームはこれまでに、独自な手法により、1次元構造のグラフェンであるグラフェンナノリボンを大規模集積化合成することに成功している。今回は新たに、この1次元グラフェンナノリボンを0次元に量子ドット化する技術を開発し、グラフェン量子ドット・デバイスの大規模集積化合成の実証に取り組んだ。 研究チームは、グラフェンナノリボンの長さを可能な限り短くして0次元構造に近づけるために、グラフェンナノリボンを合成する際の条件を最適化。同手法で同一基板内に複数のデバイスを形成した結果、量子ドット特性の基本であるクーロンダイヤモンド(量子ドットを流れる電流の微分コンダクタンスがゼロとなる領域がダイヤモンド形状として現れる特性)を半数以上の56%のデバイスで観測することに成功した。さらに、量子コンピューターへの応用で重要となる励起準位が、絶対温度20ケルビン(K、20Kは-253℃)まで安定に存在可能であることも明らかにした。 今回の研究成果は、コミュニケーションズ・マテリアルズ(Communications Materials)に2022年12月22日付けで掲載された

(中條)

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