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ガンマ線バーストのエネルギーは従来推定の4倍以上=東北大など

2022年12月15日 05時59分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学や台湾・国立中央大学を中心とした国際共同研究チームは、アルマ望遠鏡(チリ)とヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(チリ)を使い、宇宙最大の爆発現象である「ガンマ線バースト」の残光に対して、電波と可視光で同時に偏光測定をすることに成功。ガンマ線バーストの爆発エネルギーが、これまでの推定の4倍以上であることを見い出した。

東北大学や台湾・国立中央大学を中心とした国際共同研究チームは、アルマ望遠鏡(チリ)とヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(チリ)を使い、宇宙最大の爆発現象である「ガンマ線バースト」の残光に対して、電波と可視光で同時に偏光測定をすることに成功。ガンマ線バーストの爆発エネルギーが、これまでの推定の4倍以上であることを見い出した。 ガンマ線バーストは、非常に高いエネルギーを持った電磁波であるガンマ線が短時間観測される現象。中性子星同士や中性子星とブラックホールの合体によって発生するショートガンマ線バーストと、特殊な重い星が一生の最後に起こす爆発現象に伴うロングガンマ線バーストがある。研究チームが今回観測したのは、2019年12月21日に発生したロングガンマ線バースト「GRB191221B」で、83億光年遠方の宇宙で発生した「典型的な」ガンマ線バーストとされている。 同チームは、GRB191221Bの発生から2.5日後に残光の同時偏光観測を実施し、電波の偏光度が可視光よりも低いことを見い出した。さらに、波長による偏光の違いから、残光を放射している衝撃波の詳細な状態を調べ、爆発エネルギーが光へ変換される効率を測定したところ、約30%以下となることが判明。変換効率はこれまで100%と想定されていたので、ガンマ線バーストの本当の爆発エネルギーは、従来の推定より3.5倍以上大きくなることがわかった。 爆発エネルギーのもとになるのは爆発前の星の重力のエネルギーであり、今回の結果により、ガンマ線バーストの起源となる星の重さや爆発の理論が修正を迫られる可能性があるという。研究論文は、天文学専門誌ネイチャー・ストロノミー(Nature Astronomy)のオンライン版に2022年12月8日付けで掲載された

(中條)

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