業務を変えるkintoneユーザー事例 第166回
6地区のファイナリストが全員集合!
kintone AWARD 2022開催 効果が数字に出た後藤組とkintoneおばちゃんが登壇
2022年12月22日 09時00分更新
定年後に出会ったkintone アソシエイトは一発合格
2番目に登壇したのは、関東地区代表のISID-AO 根崎由以子氏(関連記事:山あり谷あり kintoneおばちゃんのジャーニーはまだまだ続く)。ISID-AOは2009年に設立され、電通やISIDグループ内外で、デジタルインフラやシステムサポート、ユーザーサポートなどのIT関連サービスを専門とする会社だ。そこで働いていた根崎氏は4年前に定年を迎えたという。
「何のビジョンも覚悟もないまま定年を迎えてしまいました。再雇用で出向先から戻ったものの、これといった仕事はなく、定時出社、定時退社で、お給料もモチベーションも急降下、いよいよ潮時かなと思い始めました。そんな時、試験的に使っていたkintoneを引き継ぐことになり、王子(孫)との穏やかな老後を考え始めていたおばちゃんは内心憂鬱でした」(根崎氏)
しかし、前任者からkintoneの話を聞くうちに、根崎氏のモチベーションに火が付いた。根崎氏はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を担当する部署におり、従来から現場に丸腰で出向き、人海戦術で業務を遂行する従来のスタイルに、ずっとモヤモヤを感じていたそう。もし、kintoneがBPOで使えたら、何か後方支援ができるかもしれない、とわくわくしたという。
セミナーに出かけたり、社内の業務改善のネタを拾い集めてはkintoneアプリを作り、アピールした。カスタマイズにこだわりすぎてトラブルを起こしたことから、標準機能にこだわるスタイルに変更。kintoneを体系的に学ぶため、kintone認定のアソシエイト試験を受けて一発合格する。続けて、1年以上をかけて「アプリデザインスペシャリスト」試験にも合格する。
そんなある日、社内の人材調達チームからパートナー企業の情報管理について相談を受けることになった。そこで作ったのが、「フォームブリッジ」と「kViewer」(トヨクモ)を利用したアプリだ。従来はExcelで「会社概要調査票」をメールで送付し、収集、登録をしていたところ、「会社情報を更新してください」というメールを1通送付するだけで済むようになったのだ。150社に送っていたので従来は60時間かかっていたのだが、kintone導入後は9割にあたる54時間も削減できた。
続いて、「ときめきの人材マッチング」アプリを開発する。人手不足の現場担当者が登録した募集案件情報を、人材調達チームが一覧のビューでパートナー各社に公開。一覧の中からマッチングしそうな案件を見つけたパートナーが応募フォームから提案したい人材情報を登録すると現場担当者に直接メールで届く仕組みだ。こちらも、案件の登録や人材の応募には「フォームブリッジ」、募集案件をパートナー会社に公開する際は「kViewer」を活用している。
このアプリの導入効果も大きなものだった。1案件当たりの手数が7割以上も減り、残ってしまった作業も、kintoneで割り振ることでチーム全員で分業できるようになった。その後、この人材マッチングアプリはグループ会社からも使ってみたいという連絡が入ったという。
「客先で生産業務を行なっているBPOチーム向けに開発した経費精算システムは、そのお客様の情シス部門から、自社の別の事業でも使わせて欲しいというオファーをいただきました。これは、kintoneとBPOのパッケージ販売の可能性が見えてきたのかもしれませんが、再雇用期間は残すところあと少しです。ですが、アソシエイト資格を取った人が2年で10人に増えていました。この人たちにタスキをつなぐことができたら、kintoneおばちゃん冥利につきます」(根崎氏)
最後に根崎氏から、自分が定年を迎えの日が来るとは想像できないあなたへ、やがて定年を迎え再雇用で切ない思いを抱えるかもしれないあなたへ、年齢だけで人を値踏みする、やたらフィルターをかけたがる社会へ、人材不足を嘆きながら目の前のシニア人材を活かしきれない企業へ、メッセージが送られた。
If you don't like something,change it. If you can't change it,change yourself.
どうしても我慢ができなければ 文句を言う前に、あなたが行動を起こして変えてみなさい どうしても変えられないときは 自分を変えてみなさい
マヤ・アンジェロウ
「kintoneおばちゃん劇場、第2幕の予告です。今、がんばっている現役世代の後方支援や、コロナで寂しくなった白馬村のお手伝いがkintoneでできるかもしれない、なんて絶賛妄想中です。kintoneおばちゃんの13年後の目標は、77歳喜寿でkintone hiveに再エントリーして、17歳になった(孫の)王子とダブル登壇を果たすことです」と根崎氏は締めてくれた。
後藤組 笹原氏もISID-AO 根崎氏も、ものすごい努力の果てに、kintoneと関連サービスを活用して、大きな業務改善効果をもたらした。最初はどちらもつまづきながらも、大きくジャンプして高みに到達したとても参考になる事例といえるだろう。
次回は、中盤の3番手 中部地区代表のアイホン 鈴浦直樹氏と、4番手関西地区代表 ミヨシテック 永谷顕氏、藤原 かほり氏のプレゼンの様子をレポートする。
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