法人カード一体型支出管理「Staple」のクラウドキャストCEO 星川氏に聞く、バーチャルファーストな働き方の価値
新しい働き方実現のために、あえて「週1日だけ」オフィスを開ける理由
提供: Dropbox
コロナ禍以後、あえて「週1日だけ」オフィスを借りている理由
――現在は「8:2」のバランスでハイブリッドとのことですが、具体的にはどのような働き方になったのでしょうか。
星川氏:昨年からクラウドキャストでは「週1日だけオフィスを借りる」という面白い取り組みを始めました。「8:2」の「2」、つまりオフィスに出勤して働く2割というのは、週5日のうちの1日ですよね。なので毎週木曜日を出社日とし、その1日だけFINOLAB内のオフィススペースを借りて、そこで対面でのミーティングなどを行うようにしています。
――オフィスが毎日開いているわけではなく、週1日しか開いていない。面白い発想ですね。
星川氏:オフィスをずっと開けておいて「週1日、好きな日に来てください」とすると、それぞれ出社する日が分散しますよね。同じ部署の人は同じ日に来るんだけど、違う部署の人とは会わない。そうなると、部署間をクロスするようなコミュニケーションの機会がなくなってしまいます。なので、ドラスティックに「週1日」に集中させたわけです。
――そうすると、毎週決まった出社日に全員が集まるわけですか。
星川氏:ところが、やっぱり来ない人は来ない(笑)。
――はははは(笑)。
星川氏:毎週必ず来る人がいる一方で、月に1回、年に1回、みたいな人もいます。会社としての理想はハイブリッドなので、そこは少し踏み込んで、各チームのマネージャーに出社を促すようお願いすることはあります。
先ほどもお話ししたとおり、すべてをリモートで完結させようとすると、やはりコミュニケーションコストがかかってしまいます。直接会って立ち話すれば2、3分で終わるような内容でも、わざわざオンラインミーティングの時間を設定して……となりますから。特に部署間でのクロスのコミュニケーションはそういうことが多い。やはり“バーチャルオンリー”ではだめで、ハイブリッドが必要でしょう。
会社としても、オフィスに来てもらうための創意工夫をしています。出社の強制はしないんですけど、月に1回オールハンズ(全社集会)をやって、そのあとにビアバスト(社内交流会)も開くとか。ここを常に創意工夫していくのが僕らの仕事だと思っています。
――シュピンドラーさんは、いまの働き方を現場でどう感じてらっしゃいますか。
シュピンドラー氏:働き方の基本がリモートワークになっているのは、場所を選ばず、時間を選ばず働けていいですね。わたしの場合、通勤するとなると片道1時間ほどかかってしまうので。
一方で、コミュニケーション面ではやはり苦労もあります。文章だけだと自分が伝えたいことがなかなか正確に伝わらない、しかしオンラインミーティングを設定するのは手間がかかって大変だとか、そういった難しさは感じます。
それから、チームメンバーに何か業務をお願いしたいと思っても、一人ひとりがいま抱えている業務量が見えにくく、「いまお願いしても大丈夫かな?」と遠慮してしまうことがあります。これもコミュニケーションにまつわる問題ですよね。やはりリモートワークの一番のネックはコミュニケーションなのだと思います。
クリエイティビティを高める休暇、コーヒー予算……さまざまな取り組み
――そのほかに、どんな「働き方」の取り組みをされていますか。
星川氏:オフィス出勤を週1日にしたことで、当然ですがオフィスコストは下がりましたし、通勤手当も廃止できました。その代わりに、従業員の自宅の光熱費を補助するためのリモート手当を付与しています。
それから、Stapleカードを使って毎月1回「コーヒー予算」も支給しています。気分転換にカフェで休憩するのもよし、お茶や軽食を買って自宅で仕事をするのもよしという、1000円から3000円の手当ですね。
――カードにチャージされるから自分の好きなものに使えるし、もちろん経費立替もいらないし(笑)。いいですね。
星川氏:それからこれは創業当時からなのですが、「クリエイティブ休暇」という休暇制度があります。5日間の連続休暇が取れる――と言いますか、やや強制的に連続休暇を取っていただく制度です。社歴の長さにかかわらず一律に、年1回使えます。
クラウドキャストはソフトウェア、テクノロジーの会社なので、個々人のクリエイティブの力がすごく重要です。そして同じ場所、同じ時間でずっと働いていても、クリエイティビティはなかなか高まらない。だから連続休暇で旅行に行ってもらって、クリエイティビティを高めてもらう。そんな目的ですね。
弊社には外国人の従業員も多くいますが、彼らの場合はクリエイティブ休暇と有給休暇を組み合わせて自国に帰るケースもあります。1回帰るのにお金も時間もかかりますからね。さらに人によっては休暇の前後にリモートワークを組み合わせて、1カ月以上自分の国で働くということもあります。
――そこでもリモートファースト、バーチャルファーストな働き方を実践していることが生きてくるわけですね。
星川氏:こうしたさまざまな取り組みを評価いただいて、昨年(2021年)は「働きがい認定企業(Great Place to Work)」の認定も受けました。
わかりやすい、使い勝手がいいDropboxでコア業務に集中できる
――最後になりましたが、クラウドキャストさんではDropboxのサービスをご利用いただいているとのことなので、どのように使っていてどう評価しているか、簡単にご紹介いただけますか。
星川氏:わたし個人はずっとDropboxを使っていて、会社として組織規模が拡大するタイミングで企業向けのプラン(Dropbox Business)に移行しました。
たとえばフォルダに保存したら自動的に同期、共有されるなど、Dropboxのユーザーインタフェースのシンプルさはすごく気に入っていて、そのコンセプトはわれわれのStapleのインタフェース設計にも少し反映させていただいてます。やはりシンプルでなければお客様には使っていただけない。わかりやすいこと、使い勝手のいいことが大切だと思います。
――DropboxもStapleも「働くすべての人」がシンプルに使えないといけないサービスですからね。
星川氏:ファイルのバージョン管理も楽になりました。予算管理のExcelシートとか、お客様とやり取りする資料とか、どうしてもたくさんのリビジョンが発生しますよね。昔はいちいちファイル名を付け替えてバージョン管理の代わりにしていたんですけど、それだとファイルが無限に増え続けてしまって(笑)。
――それからFintech企業としては、セキュリティやコンプライアンスも気になるところではないですか。
星川氏:もちろんです。そのためにDropboxの個人向けプランではなく、管理機能が優れた企業向けのDropboxを選んでいます。アクセス権限が細かく切れますし、ISO 27001認証の更新に必要な2要素認証などの機能もあります。万が一に備えてアクセス履歴が取れるという点も含めて、われわれには企業向けプランが必須かなと思います。
――「Dropbox Paper」もご活用いただいているんですよね。
シュピンドラー氏:かなり活用していますね。特にチーム内で「便利だね」と話しているのが、Paperのコメントやメンションの機能です。たとえば、わたしがWebサイトに掲載する「お知らせ」記事の原稿をPaperで作成したら、チームメンバーにメンションで確認をお願いし、メンバーがそこにコメントを残します。Paper上ですべてコミュニケーションがとれて、業務がスムーズに進みます。
星川氏:ほかにも議事録とか新機能のアイデア出しとか、“チームで共有できるメモ帳”という感じで気軽に使ってますね。
シュピンドラー氏:直感的に使えるので使いやすいです。
星川氏:もちろんPaperのほうもアクセス権限が細かく設定できるので、HRの資料などにはしっかりアクセス制限をかけて、と。
――かなり使いこなしていただいているようで、われわれとしてもうれしいです。
星川氏:使う側はシンプルに使えるけど、裏で自動的にいろいろやってくれる。そこを気にせずにコアの業務に集中できる。DropboxもPaperも、そうしたコンセプトが良い点だと思います。
(提供:Dropbox)
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