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X線バースト天体の謎に挑む、ISS上での国際連携観測が始動

2022年10月21日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)や理化学研究所などの研究者で構成する国際共同研究チームは、国際宇宙ステーション(ISS)上における、X線バースト(天球上の狭い領域で突発的に大量のX線が放射される現象)天体の即時観測計画「オーマン(OHMAN:On-orbit Hookup of MAXI and NICER)を2022年8月10日に運用開始。同年9月13日に連携観測に成功したと発表した。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)や理化学研究所などの研究者で構成する国際共同研究チームは、国際宇宙ステーション(ISS)上における、X線バースト(天球上の狭い領域で突発的に大量のX線が放射される現象)天体の即時観測計画「オーマン(OHMAN:On-orbit Hookup of MAXI and NICER)を2022年8月10日に運用開始。同年9月13日に連携観測に成功したと発表した。 OHMANは、全天広域観測を得意とする日本の全天X線監視装置「マキシ(MAXI)」と、狭域詳細観測を得意とする米航空宇宙局(NASA)のX線望遠鏡「ナイサー(NICER)」という、それぞれ異なる目的で設置されたISS上の観測装置をリアルタイムに連携させる観測計画である。MAXIからのデータをISS内のコンピュータで処理し、発見されたX線バーストの情報をISS上でNICERに伝えて、自動で追観測を実施する。 研究チームによると、OHMANにより、X線バーストの発見から追観測までの時間を10分以内にできるという。これまでMAXIで観測したX線バーストの情報は、いったん地上にダウンリンクして解析された後、追観測が実施されていた。そのため、発見から追観測まで少なくとも3時間以上の時間がかかっており、追観測で対応天体が検出されないことがあった。 OHMAN運用開始後の9月13日には、マキシがペガスス座のM15球状星団からのX線バーストを発見し、その5分30秒後からナイサーが自動観測をするのに成功した(短いX線バーストであったため、追観測をした時には既に消えていた)。OHMANによる今後の観測により、これまでにMAXIで検出されたのにもかかわらず、追観測で検出されていない天体の解明が期待できそうだ。

(中條)

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