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“次の100年”に向けてアプリ、サービス、グループ共通デジタル基盤の構築を担う新組織

なぜ東急は内製化にこだわり「Urban Hacks」を立ち上げたのか

2022年10月03日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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第一歩として「時間」「経済」「場所」の3アプリをリリース

 東急グループの101年目の第一歩として、Urban Hacksでは3つのアプリをリリースしている。まずは人々の生活の中心となる「時間」「経済」「場所」の3領域から体験をアップデートしていくという。

リアルとデジタルの融合を通じて、「時間」「経済」「場所」の3領域における体験をアップデート

 「時間」では、東急が100年間提供し続けてきた移動の価値を、次の100年に向けて、デジタルを活用してアップデートすることを目指している。今回は「東急線アプリ」をリニューアルした。

 新しい東急線アプリでは、鉄道の遅れなどの情報をタイムリーに通知し、アプリを起動していなくても情報を視覚的に確認できるようにした。加えて、迂回ルートの確認や遅延証明書の発行ができ、個人の予定への影響を最小限に抑えられるようにサポートする。

 また、日常利用する駅を複数登録しておけば、それぞれの駅を切り替えながら、駅を基点とした情報を一元表示できる。列車の走行位置もタイムリーに表示し、乗りたい列車がどこにいるのかを確認。電車の到着時刻なども一目でわかるという。さらに、バスの情報とも連携し、停留所への接近情報や到着予定時間、混雑度を確認できる。

 乗り場地図では、自分が乗車するバスの停留所の位置を地図上に表示し、迷うことなく、目的のバス停まで到達できる。「東急線のある暮らしをもっと便利に、豊かにすることを目指し、街や駅をもっと好きになってもらうことを目指す」という。

「移動」のアップデートを目指し、新しい「東急線アプリ」をリリース

 「経済」においては、「お金と人の関係性をアップデートする」というテーマを掲げている。今回は東急カードアプリをアップデートし、名称を「東急カードプラス」へと変更した。

 東急カードプラスでは、起動時に生体認証を用いてユーザーの安全・安心を確保。より視認性が高いデザインにし、利用明細は利用月ごとにグラフ表示するなど直感的に理解できるようにしている。カードを利用する際の「ワンポイントアドバイス」表示によって、新たな使い方への気づきも与えるという。

 「カードを利用する際は購入や消費したものが重視され、のちの請求を見て困ったりするネガティブな体験は多くの人に共通したもの。デジタルを活用することで新たな提案を行い、使ったあとにも新たな関係性を築くことを目標に開発した」

 新たに提供する「見つける機能」では、東急グループが提供する地域イベントやお得な情報を、一人ひとりにカスタマイズし、直感的に気づいてもらえるようにしている。これもグループ各事業会社の枠を超えたサービスであり、Urban Hacksによる成果のひとつだ。

「お金と人の関係性」のアップデートとして、「東急カードプラス」をリリース

 3つめの「場所」では、「未来の居場所を増やすこと」をテーマにしており、「東急ホテルズ」アプリをリニューアルしたことを発表した。

 2022年7月に開業した京都東急ホテル東山では、スマホがホテルの部屋の鍵になる「デジタルルームキー」機能を先行して導入。10月の吉祥寺エクセルホテルの開業にあわせて、東急ホテルズアプリを活用したサービスを拡張する計画だ。

 アプリを起動し、宿泊者情報を登録しておくと、提供されるQRコードをかざすだけでチェックインが完了し、スマホで、エレベータやドアの鍵を開けることができ、宿泊代の決裁もオンライン上で完結する。滞在前から滞在後まで満足してもらえる体験を、デジタルを活用して提供するという。

 「変化する社会情勢に素早く対応し、ウェルビーイングにつながるホテルの使い方を、デジタルを駆使して提案していく」

「場所」のアップデートとして、「東急ホテルズ」アプリもリニューアルした

「あったらいいな」の未来の生活を開発していく

 Urban Hacksでは、未来の生活を「あったらいいな」という観点から描いているという。その理想像から逆算したものが、今回の「時間」「経済」「場所」という観点での新サービスにつながっている。

 Urban Hacksが描く「未来の1日」はこうだ。

 自動運転が進展し、無人で走るクルマが生まれ、リビングからそのまま出社できるようになる。出社したオフィスでは屋上などを最大限に活用し、自給自足でサステナブルな活動を行えるようになる。公園ではVRを超える技術の出現によって恐竜のホログラムと遊べるようになるなどの新たな体験学習ができる。夕食は、余ってしまった食材を瞬時にデータベース化し、それらを献立のメニューとしてドローンで配達し、環境にも優しい食事ができるようになる。買い物や消費に関しても、生体認証などにより、貨幣やカードなどを越えたより便利で新たな決済が実現できる――。

 「これらはいまの技術では実現できないが、デジタルが進化することで素晴らしい未来が訪れることを描いている。人々の暮らしとデジタルが融合することで、見たこともない社会が実現される。その世界を実現することを前提に、一人ひとりのお客様と向き合い、デジタルサービスを着実に改善することから始めている。長い積み重ねが街に広がり、その街に広がった便利やスマートさが、社会全体に広がっていく。こうした大きなビジョンから、バックキャスティングし、未来の実現のために日々試行錯誤をしながら開発していく」

「あったらいいな」の未来を描き、そこに向けた開発を進めていく

 今後のUrban Hacksの取り組みについて、宮澤氏は「お客様と街とともに継続した活動を続けるところが重要」だと語る。

 「沿線の街で暮らす人、渋谷に通勤する人、東急のサービスを日々利用する人たちの声を取り入れて、不満を取り除き、要望を聞きながらプロダクトをアップデートしていく。これはデジタルがなければ成しえない手法であり、このサイクルを自社で回し続けられることがUrban Hacksの強みだ。東急グループの次の100年に向けた、新たな進化につながる。各プロダクトの進化に留まらず、東急グループが展開するさまざまな事業においても、既存のサービスとデジタルを融合した価値ある新たな体験を提供し、『あったらいいな』の未来の実現につなげたい」

 さらに宮澤氏は、「Urban Hacksの存在を通じて、東急がDXの柱として、デジタルで顧客との継続的な関係性を本気で構築していきたいと考えていることを理解してもらえたのではないか」とも語る。

 データから一人ひとりの顧客を認識し、カスタマジャーニーを提供し、東急グループ各社の単一事業のサービスに留まらず、沿線と都市を中心にした事業の広がりを目指す――。Urban Hacksによって、東急グループの次の100年をテクノロジーで豊かにするという取り組みがスタートしている。

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