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東芝、透過型Cu2O太陽電池の発電効率の世界記録を更新

2022年09月29日 06時15分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東芝は、高効率・低コスト・高信頼性のタンデム型太陽電池の実現に向けて、キーデバイスとなるトップセルとして開発中の透過型亜酸化銅(Cu2O)太陽電池で発電効率9.5%を達成。同社が持つ世界最高の発電効率8.4%を1.1ポイント向上させることに成功した。

東芝は、高効率・低コスト・高信頼性のタンデム型太陽電池の実現に向けて、キーデバイスとなるトップセルとして開発中の透過型亜酸化銅(Cu2O)太陽電池で発電効率9.5%を達成。同社が持つ世界最高の発電効率8.4%を1.1ポイント向上させることに成功した。 同社は、Cu2O発電層において、光で生じたキャリア(電荷の運び手)が太陽電池(セル)の壁面まで拡散してキャリアの再結合が起こっていることが、発電効率が低下する要因の一つになっていることを発見。発電面積(セルサイズ)を、昨年12月に公表した3ミリメートル角から10ミリメートル×3ミリメートルに拡大し、再結合を抑制することで発電効率を向上させた。 タンデム型太陽電池は、2つの太陽電池をボトムセルとトップセルとして重ね合わせ両方のセルで発電することにより、全体としての発電効率を上げる仕組みになっている。今回の透過型Cu2O太陽電池を、発電効率25%の高効率シリコン(Si)太陽電池に積層するCu2O/Siタンデム型太陽電池は、全体の発電効率として28.5%と試算でき、Si太陽電池の世界最高効率26.7%を大きく上回り、より高効率のガリウム砒素(GaAs)太陽電池の世界最高効率29.1%に迫るという。 東芝は今後、セルサイズを段階的に大きくし、最終的には、市販されているSi太陽電池と同サイズの数インチ級のセル製造技術を確立し、量産化を目指す。

(中條)

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