SteamOSの方が快適な場合もある
ではSteamOSでの動作について検証していこう。ただ前述の通りSteamOS上で「確信の持てる」フレームレート計測手法を確立できていないため、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測できるゲームを使用する。
まずは「Forza Horizon 5」で検証しよう。画質は“最低”と“低”の2通りとした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを使用し、リザルト画面に表示されるGPUフレームレートの最小と平均、そしてベンチマークシーン全体の平均フレームレートをそれぞれ比較した。
明らかにWindows 11で遊んだ方が高いフレームレートが出ていることが分かる。Steam DeckではWindows用のバイナリをそのままProton(Wine)レイヤーを通して実行している訳だが、かなりのオーバーヘッドになっていることが示唆されている。ただしForza Horizon 5はメモリー食いであり、低設定でもVRAMに4GB程度、メインメモリーを11.5GB程度食うため、そこの処理がボトルネックを生んでいる可能性がある。
もう少し軽め、しかもあまり動きのないゲームでも試してみたい。そこで用意したのが「Sid Meyer's CIVILIZATION VI: Gathering Storm」(CIV6)だ。APIはDirectX 12とし、画質は最低と低設定とした。ゲーム内ベンチマーク機能のグラフィック用ベンチ(Gathering Storm)を利用して計測した。結果はフレームタイムで出るためフレームレートに変換している。
Forza Horizon 5とは対照的に、このゲームではSteamOSとWindows 11でパフォーマンスに差はないどころか、最低フレームレートにおいてはSteamOSの方が若干高い値を出している。API変換のオーバーヘッドはそれほど大きくないにしても、なぜWindows 11より軽くなるかについては今後の検証が必要だろう。
FPS系の中でもやや重めの「Tiny Tina's Wonderlands」でも試してみたい。APIはDirectX 12、画質は“最低”と“低”とした。ゲームするが、最低フレームレート(の1パーセンタイル点)はログから計算している。
このゲームでも傾向はCIV6と同じように平均フレームレートではSteamOSとWindows 11の間に差はなく、最低フレームレートでは若干SteamOSの方が高いという結果になった。
Ghostwire: Tokyo並の超重量級である「Cyberpunk 2077」もベンチマーク機能があるので試してみよう。画質は“低”および“Steam Deck(SDと略)”とした。群衆密度はデフォルト設定のままとしている。
このテストではWindows環境よりもSteamOSの方が4割程度高いフレームレートを示している。何かがWindows上での動作に関して強いボトルネックになっていることが考えられるが、検証に使用したCyberpunk 2077では画質設定周りのUIに不具合(画質を変えても適用されない)を抱えているため、その影響も捨てきれない。よってこの結果の妥当性には若干疑問符をつけておきたい。