6月の「HPE Discover」で発表された新サービスや新パートナープログラムについて説明
HPE、マネージドプライベートクラウドなど「GreenLake」強化点を紹介
2022年08月22日 07時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2022年8月9日、今年6月末に米国で開催した年次イベント「HPE Discover 2022 Las Vegas」で発表した、「HPE GreenLake」関連の新サービス、新パートナープログラムを紹介する記者説明会を開催した。
新しいサービスとしては、パブリッククラウドライクな体験としてプライベートクラウド環境を提供する「HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise」、同様にデータファブリック環境を提供する「HPE GreenLake for Data Fabric」、そのほかHCI、DR、バックアップ/リカバリ、ブロックストレージなどのマネージドサービスを発表している。またパートナー協業の強化、「HPE GreenLakeプラットフォーム」強化も発表した。
GreenLakeは「次のフェーズ」へ、提供サービスをさらに拡充
説明会ではまず、米HPE EVP 兼 GM HPE GreenLakeクラウドサービス コマーシャルビジネスのキース・ホワイト(Keith White)氏によるビデオメッセージが流された。
HPEでは2019年に「2022年までにすべての製品ポートフォリオを“as-a-Service”として提供する」と宣言したが、今回のDiscover 2022では同社CEOのアントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏が「ゴールを達成できた」と語り、「GreenLakeは『次のフェーズ』に入った」とさらなる拡充を目指す方針を示している。
ホワイト氏は、HPEではGreenLakeを通じて「クラウド、データ、エッジ」という3つのメガトレンドを顧客が取り入れられるように支援しており、現在までに6万5000社の顧客がGreenLakeを選択、契約総額は70億ドル以上に及ぶと紹介した。「(GreenLakeは)3四半期連続で3ケタの受注増を記録している」(ホワイト氏)。
今年のDiscoverで発表された新サービスについて、日本ヒューレット・パッカード 常務執行役員 Pointnext事業統括 兼 ストラテジック・アライアンス統括本部長の小川光由氏はまず、HPE GreenLake for Private Cloud Enterpriseを紹介した。
GreenLake for Private Cloud Enterpriseは「“真のクラウドエクスペリエンス”をプライベートクラウド環境でも提供する」ことをコンセプトとしている。具体的には、単一のUX(ポータル、API、CLI)を通じたセルフサービス、ワークロードに応じて物理/仮想/コンテナを自由に選択できる月額従量課金型、さらにHPEのマネージドサービスによる運用支援、といった特徴があるという。
またGreen Lake for Data Fabricは、コンテナプラットフォーム/データファブリックの基盤ソフトウェアである「HPE Ezmeral」をベースに、幅広い開発言語やプロトコルをサポートするデータ分析基盤を、マネージドハイブリッドクラウドサービスとして提供する。
GreenLake for HCIは、オンプレミス/エッジ/パブリッククラウド(AWS)をまたぐハイブリッドクラウド全体で、仮想マシン(VM)をセルフサービスでデプロイし、管理できるサービス。
また、シンプルなDR環境が構築できる新サービス「HPE GreenLake for Disaster Recovery」が追加されたほか、既存サービスである「HPE GreenLake for Backup and Recovery Service」においては、オンプレミス環境のバックアップ先としてAWSが利用できるように機能拡張されている。
今年のDiscoverでは、新たなGreenLakeのテクノロジーイノベーションの方向性として3つの取り組みも発表された。エッジ向けプラットフォーム「Project Edge Cluster」は、前述したGreenLake for Private Cloud Enterpriseと連携して、プライベートクラウドを分散エッジ環境にも簡単に展開できるようにするという。
パートナーのas-a-Serviceビジネス展開もサポート
パートナーエコシステム拡大の取り組みでは「HPE Partner Ready Vantage」プログラムや「HPE GreenLake MarketPlace」が発表されている。
Partner Ready Vantageプログラムは、現状の「HPE Partner Ready」プログラムをベースとして、パートナーによるas-a-Serviceビジネスの拡大をサポートするための新たなプログラムとして追加される。「Build」「Sell」「Service」の3分野があり、SIerやISV、販売店などと共に、GreenLakeを組み込んだソリューション開発から販売、顧客サポートなどを行っていく。
GreenLake MarketPlaceは、ISVなどが用意したソリューションを購入し、GreenLake環境にデプロイできるマーケットプレイスとなる。開設時には80社以上のソリューションが登録されている。ただし「日本ではまだ導入時期など含めて未定」(小川氏)だという。
ソリューションベンダーとの協業促進として、レッドハット、SUSEとの協業も発表している。レッドハットとは「HPE GreenLakewith RedHat」として、「Red Hat OpenShift」や「Red Hat Enterprise Linux」「Red Hat Ansible」などを組み込んだ新ソリューションの共同開発に合意している。
日本国内のパートナーはas-a-Serviceビジネスが苦手なケースも多いのではないか、という記者からの質問に対して、小川氏は「実は(日本の)HPE自身も“製品売り”から“as-a-Service売り”へとトランスフォーメーションしているところ」だとしたうえで、パートナーと一緒になってそうしたトランスフォーメーションを進めるために、さまざまなトレーニングプログラムの提供を進めていく方針だと述べた。
GreenLakeプラットフォームも機能拡充、開発者向けリソースの提供も
3つめのGreenLakeプラットフォームの機能強化については、HPE Pointnext事業統括 GreenLakeビジネス開発本部 シニアコンサルタントの寺倉貴浩氏が、デモ動画を交えながら紹介した。
今年4月に発表されたGreenLakeプラットフォームは、Edge-to-Cloud(エッジからクラウドまで)のプラットフォームであり、セルフサービスポータルと管理コンソールを通じて統一されたユーザー体験(UX)を提供する。
今回のDiscoverでは、GreenLakeプラットフォームを活用する開発者向けに情報提供を行う「GreenLake Developerポータル/コミュニティ」、大量のネットワーク機器やサーバー、クラウドサービスを管理しやすくする管理機能、デバイスとクラウドポータルのセキュアな通信を可能にするためのセキュリティ強化についての発表があった。
「このGreenLakeプラットフォームを使って、新たなサービスが今後もどんどん出てくる。その際には(ポータル上に)“テストドライブ”という機能が用意されており、実際に使って試していただけるようになっている。試して納得したうえで購入いただける」(寺倉氏)