「たてもの」と「まち」のイノベーション第9回

清水建設のすごい改修工事:

国立代々木競技場の石垣には「謎の建物」が埋まっている!?

文●ASCII 資料写真・図版提供:清水建設株式会社

提供: 清水建設株式会社

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アンカーと補強布で壁を耐震化

── 耐震改修というのはたとえばどんなことをするんですか?

 ひとつには、現行法規には合わないということで耐震壁を作りました。仕上げを全部取っちゃって、アンカーを入れて壁を作ったと。

── 耐震壁と普通の壁は何が違うんですか?

 日本の建物はラーメン構造と言って、梁と柱があって斜めに動いてしまう。その動きを抑えるために耐震との考えで耐震壁を入れました。

── 壁自身が構造体になるということですか?

 そうです。耐震壁で地震の動きを抑える考えです。

── 当初の壁とは根本的に意味が違う。

 中には80mmの壁もあったんです。今の壁はダブル配筋が主流で鉄筋が縦横2本ずつ入れるので壁厚が200mmくらいあるんですが、当時はシングル配筋で縦横9φ(ファイ)の鉄筋に両側30mmのかぶり厚を取って80mmの壁としています。大地震が起こったら壁のコンクリートは破片が落下することも考慮し、炭素繊維の補強布をつけて破片が落ちないようにしました。

── 中華料理屋でびんのまわりにラップを巻くようなものですかね。

 あとはコンクリートブロック。昔はほとんどの雑壁がコンクリートブロックだったんですが、大阪でブロック塀が倒れて女の子が亡くなった事故(2018年の大阪北部地震に伴うブロック塀倒壊)もあって、ブロックを壊すことになったんです。ただ、ブロックの中には岡本太郎先生の壁画もあって。

── おお、すごい。

 ある程度鉄筋は入っていたんですが、上部の鉄筋の定着が不足している部分があり、これをどうやって補強しようかといろいろ検討したんですが、上の床から穴を空けて、ブロックの孔に鉄筋を差し込み、更に炭素繊維の補強布を巻いて補強しました。

── フロアに穴を空けちゃったわけですか。

 ブロックって穴があるじゃないですか。そこをめがけてフロアに穴を空けて、そこから鉄筋を入れたんですよ。

過去記事アーカイブ

2024年
01月
02月
03月
04月
05月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2020年
01月
07月
08月
10月
11月
12月
2019年
04月
06月