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YouTubeの担当責任者が語る「著作権管理がうまく回っている」理由

2022年07月02日 12時00分更新

文● 山本 敦 編集●飯島恵里子/ASCII

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日本でもサービスが開始されたYouTubeショート

YouTubeショートなど新形態のサービスにも
著作権管理スイートが有効

 2020年11月までの過去3年間に、YouTubeはクリエイターやアーティスト、メディア企業に対して著作権管理スイートのシステムを通じて約300億ドルの収益を還元してきた。2021年12月時点で、Content IDを通じて申し立て、および収益化されたコンテンツから、著作権者に払われた広告収入の総額は75億ドルになることも伝えられている。

 YouTubeにおいて、著作権管理スイートはすべてのクリエイターと著作権者との間に起こりうる複雑な対立を未然に回避して、それぞれに魅力的なコンテンツを多くのYouTubeユーザーに伝え、同時に収益をもたらす媒介として機能しているというわけだ。この点はマガグナ氏がメディアラウンドテーブルの中で最も強くアピールした部分でもある。

 マガグナ氏は「YouTubeの著作権管理スイートはこれからも著作権所有者の意見を聞き、より良い解決策を見つけてプロセスとツールの改善に努めていく」と述べた。参加した記者からは、2021年に日本でもサービスが開始した最大60秒間の縦型動画が公開できる「YouTubeショート」など新しい動画サービスや、クリエイターが作成した動画を第三者が編集しアップロードした「リミックス(切り抜き動画)」の扱いに関する質問も寄せられた。

 YouTubeショートのコンテンツに関しては「基本的にはYouTubeに公開される他の動画と同じ規定が適用される」という見解を示し、著作権管理スイートの有効性を繰り返した。ショートビデオの中には、YouTubeと競合するTikTokなどのプラットフォームが提供するテンプレートなどを使って、クリエイターが制作・公開したコンテンツもある。

 これらについてマガグナ氏は、各プラットフォームがユーザーに使用許可を与えているライブラリの素材であれば問題ないとしたが、その他の例外的な規定については各国・地域により異なるルールにも従いながら慎重に扱われるべきと答えた。

 なお、ラウンドテーブル終了後にグーグル日本法人のYouTube担当に「リミックス(切り抜き動画)」について、日本での見解やルールについて質問したところ「日本では例外的な規定はなく、日本の著作権に関連する法律に準じます。著作権侵害については当事者同士の問題なので、YouTubeがそれを仲裁することはありません。そのために、YouTubeは権利者に対して、著作権者がコンテンツを管理できる一連の著作権管理ツールを、また、動画投稿者が著作権の申し立てに対する異議申し立てを行えるツールを提供しています」という回答であった。

 

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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