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AIの民主化を掲げ、コアテクノロジーをオープンアーキテクチャに移行

AI insideがAPI公開 予測・判断AIの開発支援やAI人材育成プログラムも発表

2022年06月29日 15時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2022年6月29日、AIプロダクトを手がけるAI insideは、ノーコードAI開発プラットフォーム「Learning Center」に予測・判断AIの機能を追加。また、APIを公開して、同社のAIインフラをオープンに提供するとともに、AI人材の育成プログラムもスタートした。

自社のAIインフラをオープンアーキテクチャへ

 AI insideは2015年の創業以来、AIプロダクトの開発にフォーカス。高いシェアを誇るAI OCRサービスの「DX Suite」、AI開発用ハードウェア「AI inside Cube」などを提供しており、現在では2000社を超える企業や団体がサービスを利用している。昨今は、AI開発におけるデータ収集・作成、学習、評価、推論をワンストップで提供するノーコードAI開発プラットフォーム「Learning Center」に注力。AI開発の敷居を下げることで、AIの民主化を推進している。

 自社イベント「AI inside Conference 2022」に先立って、AI insideの製品や新サービスについて説明したAI inside 代表取締役社長CEO兼CPOの渡久地 択氏は、生産年齢人口と単純業務の増加という課題に向き合った同社の創業時を振り返る。その上で、生産性の向上という課題だけでなく、この20~30年間で付加価値を失ってきた事実にも言及。「われわれはこれまでの延長ではなく、新たなビジネス変革を必要としている」と指摘した。

AI inside 代表取締役社長CEO兼CPO 渡久地択氏

 2017年からのプロダクトを振り返った渡久地氏は、DX Suiteの累積リクエスト回数が30億回に近づいていることをアピール。多くのデータを学習することで、AIの精度が上がり、優れたユーザー体験を提供することで、多くのユーザーが利用するという「Sustainable Growth」のサイクルでプロダクトも成長しているという。

 これに加え、AI insideは、自社のAIの開発基盤やコアテクノロジーに対しても継続的な投資を行なってきた。これにより、「性能を上げつつ、電力利用量を減らす」といった成果も達成しつつ、ユーザーに向けては低価格化も実現してきた。「よりよくなるAIが、より安くなり続けるサイクル。こうすると、より多くのお客様に選んでもらえるので、より精度が高くなる」と渡久地氏が語る。

AI insideのSustainable Growth

 今までAI insideはおもに文字認識をコアに据えたサービスを展開してきたが、AIの領域は機械学習、時系列データ分析、検索、翻訳、テキストマイニング、音声合成、音声認識など幅広い。「当社はこれを民主化したい。開発やコアテクノロジーなど、7年間ずっと投資し続けてきたAIインフラを、今後はオープンアーキテクチャにしていく」と渡久地氏は語る。

 AI insideの製品を支えるAIインフラは、新たに提供される「Developer's API」から利用できるようになる。ユーザーやパートナーは、帳票から手書き文字を読み取るAI OCRや書類の仕分けなど同社のAIを組み込んだサービスの開発が容易になる。「もっとも多くのデータを学習した文字認識エンジンを、みなさんの会社でも活用いただける。さまざまなサービスが生まれることを目指している」と渡久地氏は語る。

予測・判断AIの開発支援機能を発表 AIインフラを利用できるAPIも公開

 また、新たにLearning Centerの機能を拡張し、予測・判断AI開発を支援する「Learning Center Forecast」を発表した。4月から提供されている物体検出AIの開発を支援する「Learning Center Vision」に続く機能として提供される。

 Learning Center Forecastは、数値データに基づいた予測・判断のAIを構築し、業務の自動化や利益創出などを可能にする。自社のデータを用いて、需要や来客者、為替などの予測、特許維持や与信の判定など、さまざまな予測・判断モデルを構築できる。欠損値の自動補完やデータ分割の自動設定、特徴量の自動選択といった分析機能を備えており、ユーザーはデータを収集・アップロードし、予測したい項目を選択すれば、ボタン1つで最大14のアルゴリズムを同時実行できるという。

予測・判断AIの開発を支援する「Learning Center Forecast」

 鹿島建設ではドローンの画像から建築資材を認識するという機材管理AIの開発にLearning Center Visionを用いている。また、仙台市はAI人材の教育にLearning Centerを活用しており、AI人材は新規事業の創出や地域産業の高度化に役立っているという。

 さらに実践型AI人材育成プログラム「AI Growth Program」も発表された。社内人材をAI人材にリスキリングし、ビジネス創出や既存ビジネスの価値向上に寄与する次世代のAI人材を育成するという。プログラムはレベル1~5に分かれており、講義のみならず、実践的なワークショップを通じて、AI活用策の策定や開発・運用をできるレベルのスキル取得を目指す。レベル4以上の実証実験とAI内製化プロジェクトでは、Learning Centerを用いて、AI事業の立ち上げを伴走支援。レベル5では渡久地氏はじめとするAI insideのメンバーがAI事業をドライブしてきた立場から、ユーザーを直接メンタリングしていく。

 アパレル事業を展開するTSIホールディングスは、現場の社員がAI開発を進めており、AI insideが育成プログラムを提供した。3ヶ月で、技術を習得するだけでなく、実践を繰り返すことで、コロナ禍以降で伸張してきたECの出荷量の予測工数をAIによって80%削減したという。

AI人材育成プログラムの事例とその効果

 今回の新発表によってAI insideが実現するのは「SMART X」というフレーズだ。「あらゆる企業や団体、政府、自治体がよりスマートになる社会の実現に向けて、AIの民主化を進めていきます」と渡久地氏はまとめた。

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