24時間くりかえしタイマーは「設定ピン」が肝
24時間くりかえしタイマーには出荷時にオレンジとグレーの特殊な形状をした「設定ピン」が各3個付属する。このピンをオレンジ色とグレー色のペアで使い、目的の時刻に電源のオン/オフをする仕組みだ。動作規則は極めてシンプルで、オレンジ色が電源オンのピン、グレー色が電源オフとピンとして使用する。
外周24時間の円形ダイヤルには、2時〜24時(0時・12時)までの12個の数字で、2時間ずつ分割されている。また2時間は、15分ずつの8つの目盛が刻まれている。例えば19時に電源オン、19時45分に電源オフするなら、18時から目盛を数えて4番目の場所にオレンジ色の設定ピンを挿し、20時から1目盛(15分)だけ前に戻った場所にグレー色の設定ピンを挿す。
今回は電源オンして45分後に電源オフするので、まずスタート時点では電源がオフの設定を右上の「電源/切/入」設定つまみを回転させて「切」に合わせる。そして前述した通り設定ピンを挿す。最後にダイアルを回転して現在時刻を合わせ、壁面コンセントに挿せば設定は終了だ。
今回のケースでは現在時刻は18時30分。そして電源オンは19時、電源オフは19時45分だ。停電したり24時間くりかえしタイマーを途中で抜いて放置したりしなければ、この設定は多少の誤差が発生しても未来永劫ずっと有効だ。
24時間くりかえしタイマーは24時間のうち、電源のオン/オフや電源のオフ/オンを何回でも設定可能だ。オプションパーツとして設定ピンだけも入手できる。残念ながらダイヤル目盛は15分刻みだが、電源オン/オフ、電源オフ/オンのインターバルは2本の設定ピンが最も接近して挿せる30分が、最小セット間隔だ。またタイマーの誤差は、最大で±7.5分ある。基本的に些細なことを気にしなければ、実用範囲だろう。
前述したオレンジ色とグレー色の設定タイマーは見た目そっくりだが、微妙に形状が異なっている。よく見ると一番長い右側の棒の側面から飛び出している四角い爪のようなものの位置が異なる。電変オンのためのオレンジ色の設定ピンではピンの上限から約7mm辺りにあるが、電源オフのグレー色の設定ピンではより遠い約10mmの距離にある。
実はこのわずかかな差を利用して、24時間くりかえしタイマーはアクロバットのような電源オン/オフを見事にやってのける。実際に両方の設定ピンを2時に電源オフ、4時30分に電源オンに設定してみた。まず電源オフのグレー色の設定ピンは、ダイヤル外周の空間の底面に近い部分を回転移動する。そして電源オンのオレンジ色の設定ピンは、底面より3mm程高い位置を同じように回転移動する。
設定した時刻の2時に限りなく近づいてくると、まずグレー色の設定ピンが12時位置にある上下2段になった電源オフのための下段の小さなカムを回転させ電源オフにする。同時に右上にある現在電源オン/オフ表示が連動して「入」から「切」表示に切り変わる。そして4時になると今度はオレンジ色の電源オン設定ピンが上段のカムを回転させ電源は再びオンになり、現在電源オン/オフ表示が連動して「切」から「入」表示に変更される。
この数年、多くの「スマート」と呼ばれるプラグやコンセントの多くを見ても、それほどの感動は覚えなかった。しかし、ひょんなことから衝動買いしてしまったパナソニックの「24時間くりかえしタイマー」は、昔から知っていたはずだが今改めて見て、その発想とシンプルなUIに脱帽と感動だ。同時に戦後間もないころに、最初のコンセントタイマーを思いついた松下電工の技術者や2組のコンセント(4つのブレード)の「入」「切」を機能はそのままで3つのブレードに改良した技術者に、心から拍手を送りたい。
コンセントタイマー、ダイヤルタイマー、24時間くりかえしタイマーのいずれも、令和のIoTプラグやコンセントと比べればその機能は決して「Smart」でないかもしれないが、その発想と繰り返し改善の歴史、そして長く創り続ける技術者の姿勢は最高にスマートだ。久し振りに素晴らしい商品に出会った。やっぱり「究極のデジタルはアナログ」だヽ(^o^)丿

今回の衝動買い
・アイテム:パナソニック「24時間くりかえしタイマー」(WH3301)
・購入:Amazon.co.jp
・価格:2592円
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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