Microsoft Build 2022 Spotlight on Japan完全レポート 第3回
Project ReunionからWindows App SDKへ
Build 2022で最新版Windows App SDK 1.1を発表
2022年06月03日 10時00分更新
今年の開発者向けイベント「Build 2022」は5ヵ国の独自セッションを用意した。本稿はBuild 2022 Spotlight for Japanの「Windowsのオープンプラットフォームで優れたアプリケーションを構築するために」の概要を紹介する。
マイクロソフトがWindows 11で注力したこと
日本マイクロソフトはWindows 11を「自社にも取り組んでいるハイブリッドワークのためにデザインされたOS」(同社モダンワーク&セキュリティビジネス本部 山崎善寛氏)だと主張し、コロナ禍に起きた変化に連ねた。PCの利用時間は29%増加、オンライン会議ソリューションの利用時間も89%増加し、積極的にPCを使うユーザーは18%増。スマートフォンよりもPCを使うユーザーは67%増えたという。
日本マイクロソフトはWindows 11で「生産性」「コラボレーション」「一貫性」「セキュリティ」「豊富なデバイスの選択肢」に注力したと語る。生産性の文脈では「スタートボタンが中央に移動したのは、大きなスクリーンで使いやすいUIを提供しようとの思いから生まれた」(山崎氏)ことを明かした。
コラボレーションの文脈では、Microsoft Teamsの連携強化を目的としたミュートボタンのOS統合。一貫性の文脈は「企業においてアプリケーション(以下、アプリ)の互換性や運用管理の容易さは重要だが、我々はクラウドベースでOSを管理できる世界を目指している」(山崎氏)とWindows 365やMicrosoft Endpoint Managerの優位性をアピールした。さらにセキュリティの文脈はMicrosoftが2021年が提唱し、チップからクラウドまでのゼロトラストを標準実装するセキュリティデザイン設計を強調。デバイスについては特筆すべき発言はなかったものの、市場にはすでに多くのWindows 11搭載PCがあふれている。
アプリ開発のハードルをなくし、先進的で柔軟な開発環境を提供するWindows App SDK
他方でWindows 11で動作するアプリはデスクトップ(Win32)アプリとUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)の二種類がある。日本マイクロソフトはUWPアプリの優位性を述べつつも、「サンドボックス化されたUWPアプリからアクセスできるWindowsの機能は制限され、アプリケーションモデルの分断がアプリ開発のハードルとなっていた」(同社カスタマーサービス&サポート Applications&Infrastructureサポート本部 サポートエスカレーションエンジニア 木下舜氏)と吐露した。
この課題を解決するのがProject Reunionであり、Windows App SDKである。今回のBuild 2022ではWindows App SDK 1.1が発表された。同社は「Fluent Designに対応するUIライブラリーや、プログラム言語へWinRT APIを投影するライブラリー、Windows 10 バージョン1709以降で動作するプロジェクトを備える」(木下氏)と概要を説明。Windows App SDK 1.1はこの他にもプッシュ通知の強化やC++用の新たな環境変数API、パフォーマンスの改善などを含んでおり、本稿執筆時点ではプレビュー3だが、2022年第2四半期のリリースを予定している。日本マイクロソフトは「Windowsの機能を最大限引き出す新たなWindows App SDKに少しでも関心を持っていただければ幸いだ」(木下氏)と結んだ。
なお、セッション内で共有された各ドキュメントのリンクも本稿に記述しておこう。まずは公式サイトとなるGitHub。Windows App SDKの開発環境セットアップ手順を示したドキュメント。さらにWinUI 3によるフォトビューアーの作成手順と、既存アプリにWindows App SDKを適用するドキュメントも参照してほしい。デモのベースであるWinUI-GalleryやPush通知に関する資料も公開されている。
(提供:日本マイクロソフト)
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