楽天モバイルは、最低基本料が0円から1078円と変更される新プラン「Rakuten UN-LIMIT Ⅶ」を発表。7月1日から既存ユーザーも自動で移行する。ただし、単純な値上げでなく、これまで月間データ量が1GBまでの場合に0円だったのが、1~3GBと同じ1078円になるのであり、実際に支払い額が上昇するのは1GBまでしか使っていなかった人だけである。とは言え、これまでタダで維持できたものが、1078円になるインパクトは大きく、乗り換え先の検討で盛り上がりを見せている。
楽天モバイルに残ったほうがトクな人は当然いる
すぐに転出するかはしっかりと内容を確認してから
そんなわけで、早くも楽天モバイルユーザーの大移動の兆しがあり、基本料0円の「povo2.0」だけでなく、他のオトクな通信サービスへの移動が多く発生しているようだ。しかし、ちょっと待ってほしい。楽天モバイルに残ったほうがトクという人も少なくない。
前述のように、今回の改定で支払い額が増えてしまうのは、これまで0円だった人だけ。月1GB以上のデータ通信をしている人なら基本的に変更はない。
楽天モバイルは、データ使い放題で月3278円のワンプランでスタートし(ただし当初は、1回線目は契約から1年はどれだけ使っても無料)、昨春の新プラン「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」で、1GBまでなら0円を含む、段階制が導入された。いずれにしてもどれだけ使っても月3278円という料金は非常に安く(楽天回線のエリア内であることが前提だが)、速度制限のない月20GB以上のプランとしては最安クラスなのは現在も変わらない。
エリアの充実度も以前と比べると目を見張るほどで、地方展開や電波の安定など着実に進化している。にも関わらず、上限無しで3278円と料金が変わらないのは、当初よりもコスパがアップしているとも言える。
Rakuten Linkの大きなメリットが国内通話定額
アプリが必要とは言え、かけ放題が1078円と思えばオトク
楽天モバイルでは、「Rakuten Link」アプリを使う必要があるものの、国内通話は追加料金不要でかけ放題なのは従来から変わらない。3大キャリアで普通に電話をかけると30秒あたり22円で横並び。MVNOの格安SIMでも30秒あたり9~11円程度。楽天モバイルに月1078円払うとしても、毎月25~60分間も通話すると元はとれてしまう計算になる。
他のサービスで通話定額オプションを追加するにしても、かけ放題は1200~1800円程度で、それとは別に基本料も必要となる。楽天モバイルなら月3GBまでのデータ通信も含んで1078円なので、通話を頻繁に利用するユーザーであれば十分オトクと言える。また、デュアルSIMのスマートフォンで他のサービスのSIMと組み合わせれば、楽天モバイルのエリアの狭さをカバーしながら、かけ放題の通話も可能だ。
新プラン導入の代償か、楽天経済圏でのメリットが加わった。具体的には楽天モバイル契約時のポイントアップが終了未定のキャンペーンで従来の1%から2%へ、さらに最上級のダイヤモンド会員なら3%にアップする。ただし、このキャンペーンでのアップ分は獲得上限がダイヤモンド会員でも2000ポイントと多くないため、ポイント獲得だけで月1078円の有料分を相殺するのは少し苦しそうだ。
どんな人が楽天モバイルから転出・解約するといいか
では、楽天モバイルのユーザーのうち、どんな人が別のサービスに移るか解約したほうがいいのだろうか。まずは、データをほぼまったく使わず、通話もせず、0円だからなんとなく契約している場合や、着信用の予備回線として0円維持をしたいケースとなる。
予備回線として最低コストで運用したいのなら、移行先として基本料0円のKDDI「povo2.0」や、日本通信SIM「合理的シンプル290プラン」やHISモバイル「自由自在」プランといった月290円からの格安SIMがある。
ただし、povo2.0は有料トッピングを180日間に1度は購入しないと解約となる。日本通信SIMやHISモバイルは現在のところ加入キャンペーンなどがなく、初期費用の3300円が原則必要なので意外にコストがかかる。ほかには、1GBの通信量と月最大10分相当の通話料がセットで月550円のOCN モバイル ONEもあるが、通話のできる電話番号を維持するのは当然ながら相応にコストがかかる。
電話番号に未練がなく、まったく使わないのなら解約を検討したほうがいいだろう。もし急遽回線が必要になっても、最近のiPhoneでも対応しているeSIMで契約すれば、楽天モバイルやpovo2.0では最短で即日での利用開始も可能だ。

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