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星間分子雲に生命の起源、炭素質隕石の分析から示唆=北大など

2022年04月30日 06時46分更新

文● MIT Technology Review Japan

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北海道大学、海洋研究開発機構、九州大学、東北大学らの研究チームは、最古の太陽系物質である炭素質隕石から、生物のDNAとRNAに含まれる核酸塩基5種をすべて、同時に検出することに世界で初めて成功した。生命誕生前にも多様な核酸塩基類が地球上に供給されていたことを強く示唆する結果であり、始原的な分子進化における最初の遺伝機能発現の過程を読み解く鍵になりそうだ。

北海道大学、海洋研究開発機構、九州大学、東北大学らの研究チームは、最古の太陽系物質である炭素質隕石から、生物のDNAとRNAに含まれる核酸塩基5種をすべて、同時に検出することに世界で初めて成功した。生命誕生前にも多様な核酸塩基類が地球上に供給されていたことを強く示唆する結果であり、始原的な分子進化における最初の遺伝機能発現の過程を読み解く鍵になりそうだ。 本研究では、同チームが独自に開発した超高感度・超高分解能の分子レベル核酸塩基分析法を駆使して、炭素質隕石中に存在する核酸塩基や窒素複素環分子群の精密な化学分析を実施。マーチソン隕石をはじめとする3種の炭素質隕石から、前生物的な遺伝子の候補となる核酸塩基5種(ウラシル、シトシン、チミン、アデニン、グアニン)すべてを含む18種類の核酸塩基類を網羅的に検出した。さらに、核酸塩基の種類や存在量を分析することで、少なくともその一部は太陽系形成前の星間分子雲という環境で生成された可能性が示された。 生命誕生前の原始地球上でどのように最初の生命が誕生したのか、という科学における究極の謎について、炭素質隕石や彗星など地球外物質によって供給された有機化合物がその材料となったという説が提唱されている。しかし、生命の遺伝機能を担うDNAやRNAの構成成分、核酸塩基については地球外物質からの検出例が少なく、地球上での初生的な遺伝物質の分子情報や生成機構を含め複素環分子の多様性に関する基礎情報は乏しかった。 研究成果は2022年4月27日に、ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された

(中條)

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