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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第664回

Zen 3+で性能/消費電力比を向上させたRyzen Pro 6000 Mobileシリーズを投入 AMD CPUロードマップ

2022年04月25日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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ラインナップは11製品

 下の画像が今回発表されたRyzen Pro 6000 Series Mobileのラインナップである。6000 Seriesといいつつ5000番台が混じってるあたりは後述する。実はラインナップ的には、コンシューマー向けのRyzen 6000 Series Mobileとほぼ変わらない。具体的には以下のようになっている。

おそらくHシリーズの45W製品はワークステーション向け。35WのHSと28WのUシリーズがメインストリーム向けとなる

  • ハイエンドのRyzen 9 6980HX/Ryzen 9 6980HSに相当するモデルはない
  • オーバークロック動作が無効化されている関係で、Ryzen 9 6900HXに相当するモデルが、XなしのRyzen 9 Pro 6950Hに変更
  • その他はすでにある製品のモデルナンバーに+50した形

 Ryzen 6000 Series Mobileが全11製品であり、このうち8製品がRyzen Pro 6000 Series Mobileとしてもラインナップされた格好だ。

 一方その下のRyzen Pro 5000 U Seriesであるが、これは言ってみれば低価格向けである。コード名はBarceloだが、中身はZen 3+Vega GPUのCezanneコアそのものである。ちょうどCezanneの世代にZen 2ベースのLucienneが投入されたのと同じで、その意味ではLucienneの後継がBarceloということになる。

右側のうち、Ryzen 7 5825Uは今回新規に追加されたSKUとなるが、他はすでに発表済の製品で、これのPro版が左側の3製品である

Alder Lakeをコア数で圧倒
GPU性能もRDNA2の敵ではない

 最後に性能についてざっと紹介しておく。まずRyzen Pro 5000シリーズとの比較が下の画像だ。同じ15W枠でもCPU性能1.1倍/GPU性能1.5倍で、28W枠ならそれぞれ1.3倍/2.1倍になるとするが、さすがに15Wと28Wでは筐体が異なるだろうから、これを同一比較するのは難しい気がする。

Ryzen Pro 5000シリーズとの比較。ここで28Wを持ってくるのはどうか? と思わざるを得ない

 本命のAlder Lakeとの比較が下の画像となる。CPU性能ではコア数で圧倒しているし、GPU性能ではインテルもがんばってはいるものの、RDNA2の敵ではないという感じ。

Alder Lakeとの比較。IPCで言えば多少遅れがある(CineBench R23 1T)が、構成を考えれば十分健闘してると思うし、悪くないスコアだろう。ちなみに比較はCore i7-1260P vs Ryzen 7 Pro 6860Zである

 CPU性能では下の画像を示しているが、これは注釈が必要。Procyonのスコアはほぼ実力であって、かなりいい勝負である。一方PCMark 10の方だが、これ実は内部でOpenCLを呼んでいるテストが含まれており、おそらく性能差はそのOpenCLの部分で生じていると考えられる。つまりCPU性能だけで見れば、Alder Lakeに「ほんの少しだけ」負けていると思われる。

Alder LakeとのCPU性能比較。こちらも同じくCore i7-1260P vs Ryzen 7 Pro 6860Z

 ただその一方で、実際にGPUを利用しながらのシーンでは大きな性能差が付きやすい。AMDが説明するのは、TeamsでテレカンファレンスしながらProcyonのOffice Workloadを実施すると17%高速、という話であるがここではTeamsの処理でGPUコアが活躍しているものと思われる。

マルチスクリーンのデスクトップマシンならこういう使い方はアリだろうが、外部ディスプレーなしのノートでTeamsを立ち上げながら、さらにOffice Workloadを実施するというシーンが現実問題としてどのくらいあるのだろう?

 Office Productivityで15%高速という数字は、なにしろPCMark 10が入っている時点であまりあてにならない。

オフィスの生産性が15%速い。理由はCPU性能比較と同じ。ProcyonのOffice ProductivityとPCMark 10 Applicationだけを示せばよかったのに、と思わざるをえない

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