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抗ウイルス材料、新型コロナ変異株にも有効=東工大など

2022年04月18日 06時53分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学、奈良県立医科大学、神奈川県立産業技術総合研究所の研究グループは、酸化銅と酸化チタンの複合体である抗ウイルス材料(CuxO/TiO2)が、デルタ株などの新型コロナウイルス変異株を不活化することを実証した。さらに、スパイク・タンパク質とRNAを損傷させることでウイルスを不活化させている仕組みも解明した。

東京工業大学、奈良県立医科大学、神奈川県立産業技術総合研究所の研究グループは、酸化銅と酸化チタンの複合体である抗ウイルス材料(CuxO/TiO2)が、デルタ株などの新型コロナウイルス変異株を不活化することを実証した。さらに、スパイク・タンパク質とRNAを損傷させることでウイルスを不活化させている仕組みも解明した。 研究グループは、ガラス板にCuxO/TiO2をコートしたものと、単純なガラス板を用意。それぞれに新型コロナウイルスの懸濁液を滴下し、乾燥を防ぐ透明なフィルムをかぶせて容器に入れ、暗所または白色蛍光灯照射環境で保管した。一定時間が経過した後、ウイルス液を回収し、液を希釈して宿主細胞に摂取し、寒天培地を加えて培養した。培養後、色素で染色してウイルスによる感染で破壊された宿主細胞の数を数えた。 新型コロナウイルスのアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株で検証したところ、CuxO/TiO2によってどの株も検出限界以下まで減少していた。スパイクタンパク質の損傷特性を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)で定量評価した結果、CuxO/TiO2は暗所でもスパイクタンパク質を減少させ、白色蛍光灯の照射によってその効果が向上することが明らかになった。 続いてRNAの変化について、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-qPCR法)で解析したところ、CuxO/TiO2は暗所でもRNAを減少させていた。白色蛍光灯を照射した場合、照射時間が0〜4時間では、CuxOの強い変成作用によってRNAが断片化したと考えられ、4〜8時間の場合は光触媒による酸化分解反応が進んでRNAの断片化がもたらされると考えられるという。 研究成果は4月14日、「サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)」誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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