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ラットの多能性幹細胞から始原生殖細胞の作製に成功=東大など

2022年04月09日 09時20分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学医科学研究所、自然科学研究機構生理学研究所、奈良県立医科大学、京都大学、スタンフォード大学の研究グループは、ラットの多能性幹細胞から試験管内で精子や卵子の元になる始原生殖細胞を作ることに成功した。個体作出につながる機能的な始原生殖細胞の作成に成功したのは、マウスに続いて2例目となる。

東京大学医科学研究所、自然科学研究機構生理学研究所、奈良県立医科大学、京都大学、スタンフォード大学の研究グループは、ラットの多能性幹細胞から試験管内で精子や卵子の元になる始原生殖細胞を作ることに成功した。個体作出につながる機能的な始原生殖細胞の作成に成功したのは、マウスに続いて2例目となる。 マウスの研究で得られた知見から、始原生殖細胞を作るには多能性幹細胞を「エピブラスト」と呼ぶ細胞に近づける必要があることが分かっている。研究グループはラットのES細胞からエピブラスト細胞の作製に挑んだものの、マウスと同じように細胞を培養皿に接着させる方法では上手くいかなかった。そこで、「スフェロイド」と呼ぶボール状の構造体を作ってES細胞を浮遊させたまま培養したところ、数日の培養でエピブラスト細胞を得ることができた。さらに培養条件を検討しながら培養を続けたところ、スフェロイド内の細胞のうち20%程度が始原生殖細胞まで発達した。 続いて、この始原生殖細胞から精子を作れるかどうかを検証するために、精子のできないラットの精巣に培養した始原生殖細胞を移植した。8週間後に確認したところ、精巣内で精子を作っていることを確認できた。この精子をラットの未受精卵に顕微授精し、できた受精卵を雌ラットの卵管に移植したところ、移植を受けたラットは正常な産仔を出産した。この産仔は健康に発育し、子孫を残すこともできた。 研究成果は4月7日、サイエンス(Science)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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