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論理量子ビット間での演算を可能にする誤り訂正手法=慶應大など

2022年04月05日 08時42分更新

文● MIT Technology Review Japan

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慶應義塾大学とNTTなどの共同研究チームは、単一の論理量子ビットだけでなく、相互作用する複数の論理量子ビットを復号する量子誤り訂正アルゴリズムを開発。同アルゴリズムに基づく復号器を高速・低消費電力で動作する超伝導回路で実装した。消費電力の小さい極低温環境で動作し、論理ビット同士の演算を保護する量子誤り訂正手法を実現したのは同チームが世界初だという

慶應義塾大学とNTTなどの共同研究チームは、単一の論理量子ビットだけでなく、相互作用する複数の論理量子ビットを復号する量子誤り訂正アルゴリズムを開発。同アルゴリズムに基づく復号器を高速・低消費電力で動作する超伝導回路で実装した。消費電力の小さい極低温環境で動作し、論理ビット同士の演算を保護する量子誤り訂正手法を実現したのは同チームが世界初だという 研究では、「オンライン復号」と呼ばれる復号方式に基づいて、論理量子ビット同士の演算に対応可能な復号アルゴリズムを提案し、論理量子ビット間で量子演算をしている最中に生じるエラーを高速に訂正できるようにした。オンライン復号は、今回の研究チームが以前に提唱した手法であり、量子ビットのエラーの発生に追従してリアルタイムでエラーを推定することでエラーの蓄積を防ぐ。 研究チームはさらに、単一磁束量子(SFQ:Single Flux Quantum)回路という高速・低消費電力で動作する超伝導回路を用いて、極低温環境で動作する、同アルゴリズムに基づく復号器を設計・実装。復号処理を1マイクロ秒以下で実行可能であり、エラーの有無を調べるための観測処理と復号処理を同時に実行できる高速性を備えていることを示した。 今回の研究成果は、2022年4月2~6日に開催される第28回高性能コンピューターアーキテクチャ国際シンポジウム(The 28th IEEE International Symposium on High-Performance Computer Architecture:HPCA-28)で発表される。超伝導量子コンピューターのスケーラビリティおよび量子ビットのエラー耐性を向上し、誤り耐性量子コンピューターの開発の進展に寄与することが期待される。

(中條)

 

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