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Xperia温故知新! 波瀾万丈な歴史を紐解く 第94回

ソニーの技術を集結! ワンソニーをついに体現できた「Xperia 1 III」

2022年03月28日 12時00分更新

文● 君国泰将 編集● ASCII

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 Xperiaの怒濤の歴史を紹介してきた当連載も、ついにも最新モデルに追いついてしまいました。

 ソニーは2021年4月にXperia新モデルを発表。そのフラッグシップモデルが「Xperia 1 III」です。

ソニー「Xperia 1 III」

 外観は「Xperia 1 II」と変わらないスタイリングながら、劇的にカメラが進化しました。背面のカメラは、3眼に見えつつも、望遠を担う部分はレンズを可変式とすることで、1つのレンズで70mm(F2.3)と105mm(F2.8)の2つの焦点距離で、被写体にクローズアップした撮影ができるようになりました。ここはソニーのαシリーズを愛用しているユーザーなら間違いなくピンときます。

 焦点距離16mm(F2.2)の超広角レンズ、24mm(F1.7)の広角レンズと合わせて、デジタル一眼カメラでなじみのある焦点距離を4つも揃えてきている事にテンションが上がります。単純に望遠をのばすのではなく、70mmと105mmをチョイスしているところが心ときめくポイント。

 それぞれに約1220万画素のイメージセンサーを採用、薄暗い環境下でも被写体までの距離を検知し、フォーカスを合わせやすくする3D iToFセンサーを搭載。階調・色再現・透明感・立体感・ぼけ味など、被写体の微細な質感を再現するZEISS(ツァイス)レンズやフレアやゴーストを抑えて、クリアな描写を実現するT*(ティースター)コーティングを施してありますが……、そこはGレンズじゃないのか! と突っ込むところでもあります。

 また、Xperia 1 IIIの専用シャッターボタンには、あえてグリップできるようにエンボス仕上げが施されているなど、カメラ好きにはたまらない要素が満載です。

 動体を高精度に追従し続ける「リアルタイムトラッキング」や、人物に加えて動物の瞳まで検出する「リアルタイム瞳AF」は非常に便利。センサーすべてがExmor RSになり、いままではメインカメラ以外のカメラが残念というモヤモヤがここで払拭されました。秒間60回のAF/AE演算とAF/AE追従最高20コマ/秒の高速連写も、画像を複数枚重ね合わせてノイズの低減や、AI超解像ズーム、動画撮影時の光学式手ブレ補正を強化した「FlawlessEye対応のハイブリッド手ブレ補正」など新要素もたくさん。カメラの進化は見事と言っていいでしょう。

 今まで静止画撮影用として、通常のカメラアプリと「Photography Pro」の2つもあってどうなの? という状況から「Xperia 1 III」では1つに集約。Photography Proのモード選択のなかに、「BASIC」を追加して、高いAF性能や高機能を活かしつつ、カンタンな操作で静止画も動画も撮影できるようになりました。動画に関しては、21:9のアスペクト比で映画のような撮影ができる「Cinematography Pro」はそのまま残っており、そのマニアックな仕様から使い手を選びます。せっかく4K HDR 秒間120コマのスローモーション撮影などができるにもかかわらず、設定がややこしすぎてハードルかなり高めです。

 ディスプレーは、アスペクト比21:9の約6.5型有機EL(3840×1644ドット)に加え、Xperia 5 IIだけに備わっていたリフレッシュレート120Hz駆動に対応しました。加えて240Hzのタッチスキャンレートや、高速タッチレスポンスによって、FPSやTPSなどの俊敏な操作が必要なゲームでも指の動きを素早く正確に読み取って、意図した操作が可能になるなどよりゲーマー向けに。

 超高精細かつ残像が少ないなめらかな画面表示ができて喜ばしいところではあるものの、バッテリー消費が激しくなるのはお約束。ただ、有線で充電できるなら、システムに直接給電する「HSパワーコントロール」を使えばバッテリー消費は最小限に抑えてプレイできます。

 ゲームをアシストする専用機能を備えた「ゲームエンハンサー」は、黒や灰色など、ゲーム内の暗い部分を明るく表示することができ、隠れている敵や障害物を見つけやすくなる「L-γレイザー」や、敵の足音や銃声など、勝つために必要な特定の音を際立たせるのに便利な「オーディオイコライザー」などマニアックさを極めています。ボタンを押した約30秒前から録画される「RTレコード」機能は、ゲーム配信者のことを考えてあるなと感心します。

 スペックを見ると、SoCはSnapdragon 888、メモリーは12GB、ストレージはキャリアモデルが256GB、SIMフリーモデルは512GB。バッテリー容量は4500mAhと、大容量かつワイヤレス給電Qiと、ほかのスマホやワイヤレス充電対応のヘッドホンなどへの「おすそ分け充電」にも対応。本体サイズは約71×165×8.2mm、重さは188gと、200gオーバーの多いハイエンドモデルの中でも軽量な部類に入りました。

おすそ分け充電

 全体的なデザインはメタルフレームと背面ガラスで高級感があるものに。興味深いのはXperia 1 IIのSIMフリーモデルに先行して採用された、マット処理を施したフロスト仕上げが好評だったためか、Xperia 1 IIIのすべてのカラバリに、このフロストが採用されています。その名もフロストブラック、フロストグレー、フロストパープルの3色展開でした。

 ネットワークは、5G Sub 6だけでなくにミリ波にも対応。なんと半年前にXperia初のミリ波対応! と声高に謳われた「Xperia PRO」のお株をかっさらってしまいました。いやいや、Xperia PROはアンテナを筐体の上下左右4ヵ所に備えているし低誘電率素材を採用した最高のモデル! と言いたいところですが、電波環境が整っていないのであまり引きにはなりませんでした。

 トリプルカメラや21:9の縦長ディスプレーで、ソニーの技術を集結させた今の「Xperia」の礎を築いた「Xperia 1」から丸2年経過してもそのコンセプトはブレず、Xperia 1 IIIもその流れを汲んでいるのは成功している証。

純正アクセサリーのケーススタンド

 今まさに盛り上がりをみせる新たな音楽体験「360 Reality Audio」にも対応したうえで、ヘッドホンだけでなくXperia本体のスピーカーでも「360 Reality Audio」を楽しめ、新たに「360 Spatial Sound」に対応して、通常のステレオ音源を臨場感ある立体的な音場を疑似的に作り出すというのも、Xperia 1 IIIに真っ先に備わった機能です。

 国内での発表もキャリア主導ではなくソニー自身が先行して行なったことも新鮮でした。いつぞやの、Xperia大丈夫なのか? という不安は微塵もありません。ソニーの持つ技術をスマートフォンに集約。この当たり前のようで当たり前にできなかった事がようやく具現化できたのが、Xperia 1 IIIなのです。

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