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クリエイターだって働き方改革で理想的な仕事環境を手に入れたい!

『ソードアート・オンライン』川原礫先生×abec先生対談「クリエイターは沖縄ワーケーションやメタバースで仕事できる!?」

文●村野晃一/編集 ASCII

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「VR活用はフルダイブからが本番!」
メタバースにクリエイターの仕事場はあるか

Facebook改めMeta社が公開した仮想空間のイメージ

川原 最近、ちょっとメタバースで仕事するみたいなものが流行ってるじゃないですか。

abec ハイハイ。

川原 私、以前ほかの作家さんに「SAOとか書いてるくせに、川原さんはVRに興味なさ過ぎる」って怒られたんですよ(笑)。でも、別に興味がないというわけではなくて、VRって、やっぱり五感すべてで疑似体験できる”フルダイブ”からが本番って思っているんで、やっぱり現行のヘッドマウントディスプレーを付けて何時間も仕事って、私はちょっと辛いなぁって思っちゃうんですよね。

 あれがもっと軽くなって、目の負担も無くなって、長時間装着していられる状況になれば、入力デバイスの問題はありますけど、今使っているような巨大なモニターは必要なくなるし、仕事をする場所もバーチャルで良ければ選び放題なわけですから、擬似的なワーケーションみたいなことは可能になるのかなぁ……とは思いつつ、VRを使って原稿を書くのかって思うと、ちょっとねぇ……。あまりにもVR甲斐がないなって(笑)。

abec 川原先生の場合、特に一人で文字打つっていうシンプルなスタイルだから、わざわざVRでやる必要あるか? みたいなところもあるのかなと思いますけど。僕は、例えばヘッドマウントディスプレーを付けても、ユーザーが本当に、寝転びながらとかでも制御できる可能性があるんだったら、ちょっといいなぁと思ったりはします。

 ただやっぱり、現状の技術だと、入力デバイスとして、実際にペンを持って描くのと比べると、どうしても入力誤差みたいなものが出てきますし。

 バーチャル空間で立体イラストを描かれるアーティストさんもいらっしゃいますけど、今の状況でVRの中でアーティスト活動するのは、パフォーマンス以上の価値があるかっていうと、僕は結構微妙だと思うんですよね。

 あえて言うんだったら、仮想的な仕事場として、複数人が同じ仮想空間にいる状況はありかな。例えば会社でイラストを描いていて、横の人に見せてちょっと意見を聞く、みたいなことが自宅にいながら出来る、雑談するみたいなことができるならという感じですかね。

 でもそれも、本当にヘッドマウントディスプレーを付けているのが完全に気にならない、負荷がない状態だったらという条件付きでなら、VRでの仕事にも価値はあるのかなと思います。

川原 ちょっと発想を変えて、いわゆるVRではないんですけど、「ソードアート・オンライン エクスクロニクル」っていうイベントがあったんですけど、部屋の全ての壁と天井をモニターにして、そこに何でも好きな風景を映し出せるという環境を作るっていう、半VRみたいな。その部屋のロケーションだけ変えられるみたいな環境にはちょっと興味あります。

「ソードアート・オンライン エクスクロニクル」の4面シアター

abec 川原先生はリモート脚本会議とかやられてますけど、あれはどうなんですか?

川原 やってますけど、リモートだと雑談にはならないんですよ。あくまで会議しなきゃ、みたいな感じになって、雑談みたいなブレーンストーミングはやりづらいなって感じます。もしかしたらVRだと、もうちょっとその辺りの敷居が低くなるかなと思わなくもないですけどね。

abec どっちかっていうと、VRの一番のメリットは複数人がリモートでありながら疑似的に同じ空間にいる状態にできるってことなのかなって。

川原 脚本会議でいうと、やっぱりリモートと実際にアニメ会社さんの会議室でやるのでは発言量が違うんです。リモートだとみんな必要最小限のことしかしゃべらないで、無駄口叩かない。無駄口も良し悪しでしょうけど(笑)、そこで出るはずのアイデアが出てないなと思うことはありますね。

abec 雑談からアイデアが出るってありますもんね。

川原 もしかしたらVR会議だと、その辺の空気感がフランクな感じになって、かしこまった会議では出ないような意見も出せるようになるのかなという気は、ちょっとしますけどね。

abec クリエイターにとっての、という意味だけじゃなくて、VR空間での仕事環境というのは、まだ過渡期なのかもしれないですね。

川原 私も、自分の作品の中では、ものすごい絶景だったりとか、特殊な環境を擬似空間に設定して、そこで登場人物が宿題をするシーンとかも書いてるんです。けど、それはフルダイブだからであって、現状の、ゴーグルを付けて仕事するっていう状況はちょっといまいちピンと来ないなっていうのが正直なところですかね。

 でも、もしフルダイブが現実的なものになったら、たぶん私はもうそこから出てこないかもしれません(笑)。

(提供:JTB沖縄)

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