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外来DNAやRNAなしでゲノム育種を可能にする新技術=東大など

2022年02月20日 07時26分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学と三菱商事ライフサイエンスの研究グループは、外来のDNAやRNAを使わずにゲノム育種を可能にする新技術「TAQing2.0」を開発した。2018年に発表した、ゲノム再編成を同時多発的に誘発する技術「TAQing」を改良した。

東京大学と三菱商事ライフサイエンスの研究グループは、外来のDNAやRNAを使わずにゲノム育種を可能にする新技術「TAQing2.0」を開発した。2018年に発表した、ゲノム再編成を同時多発的に誘発する技術「TAQing」を改良した。 TAQingでは、DNA切断酵素の遺伝子をプラスミドDNAなどにより外部から導入する必要があった。そのため、遺伝子導入系が確立されていない生物種には適用できなかった。2.0では、特定のDNA配列でDNAを切断する酵素を、汎用的な膜透過性ペプチドと混合することで、細胞内で大規模なゲノム再編成を誘発させることに成功した。外来DNAを取り込むことなくゲノム再編成を誘発でき、遺伝子発現系が確立していない生物にも適用できるため、適用範囲が広がる。また、改良株に外来DNAが含まれないことで、従来の遺伝子組換え生物よりも社会的に受け入れやすい利点もある。 交配による育種が困難な工業用微生物でも、高い効率で自然変異に近い形のゲノム改良が可能になる。抗生物質産生菌にTAQing2.0を適用すると、天然物の合成に関わる休眠遺伝子を活用でき、新しい抗生物質リード化合物の創製も可能になるという。研究成果は、2月17日、コミュニケーションズ・バイオロジー(Communications Biology)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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