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外の音が聞こえやすい骨伝導式の高音質・軽量ワイヤレスイヤホン「OpenRun Pro」レビュー

2022年02月01日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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Shokzの「OpenRun Pro」

骨伝導イヤホンの実力とは!?

 音質にこだわったワイヤレスイヤホンが増える中、オープン型で骨伝導方式のイヤホンを積極的に展開しているメーカーが「Shokz」だ。以前はAfterShokzの名前で知られていた同社は、2021年12月末にブランド名を変更。より簡素に、そして「イヤホン業界にショックを与える」かのようなわかりやすい名称となった。

 2022年1月に日本で発表された最新モデル「OpenRun Pro」はShokzとして最初の製品であり、本体の小型化などが計られて、より使いやすい製品になっている。現在GREEN FUNDINGで先行予約が行なわれており、価格は超早割が予約数に達し、特割で2万537円となっている。

本体に入るShokzのロゴ。以前はAfterShokzだった

 本体形状はシンプルで、骨伝導方式で伝えるための「トランスデューサ」と、バッテリーや充電端子を備える本体部分が柔軟性のあるワイヤーでつながっている。充電端子は専用のもので、マグネット式で脱着できるケーブルが付属する(片側はUSB Type-A)。重量は29gと軽量だ。

耳の横に当てる「トランスデューサ」、そして本体部分がワイヤーでつながる

 使わないときに本体を収納するケースも付属する。ケースは横から見ると「くさび」型であり、薄くなるような設計になっている。使わないときはこのままポケットやカバンの中に入れても、本体のワイヤー部分が無理にねじ曲がってしまうこともない。

付属のケース。しっかりと保護してくれるが、筆者は普段は使っていない

 なお、ケースには充電ケーブルも固定できるようになっている。小型でいいのでUSB充電器も一緒に入れることができるとよりいいかもしれない。連続使用時間は10時間とのことで、普段外出中にOpenRun Proを使ってみると、移動中やカフェでの仕事中に使っても外出中いっぱい持つ感じだ。なお5分の充電で1.5時間利用できる急速充電も可能、フル充電も1時間で可能だ。

ケースは片側に充電ケーブルを固定できる

 筆者はオンライン会議などに便利なマイクがアーム式で伸びている同社の「OpenComm」を使っていたが、OpenRun Proはそのマイクがなくイヤホン部分に内蔵されたこともあり、サイズはかなり小さくなった。通話品質は大幅に変わることもなく、OpenRun Proを使って今も日常的に会議などに参加している。

OpenRun Pro(手前)とOpenComm(奥)

自然な装着感が気持ちイイ

 では実際に装着してみよう。ワイヤー部分は芯が通っているためある程度の強度と弾力があり、トランスデューサ部分を広げて耳の前に当てれば、そのまま自然な位置で全体が頭に固定される。29gの重量は重くはなく、トランスデューサ部分もワイヤーの弾力だけではなく耳にも重量をかけているため、肌に当たる部分もソフトな感覚だ。

OpenRun Proを実際に着けてみた

 頭の後ろから見るとワイヤーはだいぶ下の部分に位置するため、男性であれば目立たないだろう。女性の場合は髪の下にワイヤーを通すのもいいかもしれない。いずれにせよ頭への装着感に違和感などはない。大型の密閉型のイヤホンのように耳が加圧されることもないし、超小型のTWSのように耳の穴に本体を入れる構造でもないため、ラクな感覚で頭に装着できるのだ。

後ろから見ると、左右をつなぐワイヤーはだいぶ下を通っている

 イヤホンの性能としてまっさきにあげられるのが「音質」だが、空気を通して音を耳に届ける一般的なイヤホンと、耳の横に当てた「トランスデューサ」が振動して骨に振動を与える骨伝導方式のイヤホンは同じ土俵で比較する製品ではない。ノイズキャンセリング機能を搭載したクローズド型のイヤホンは完全に音に没入することを考えて設計されているが、骨伝導方式は周りの音を耳で常に聞ける状態になっており、そのうえで骨伝導を使って音楽や音声を耳に届けるのだ。

 骨伝導式のメリットはまさにその「周りの音も常に聞こえること」。都会のランナーが歩道を走りながら音楽を聞いていても、自動車や周囲の人の動きが音と目で認知できるため、安全性も高いのだ。文章で書くと「周りの音が聞こえるのに、音楽を聞くことができるのか?」と思われるだろうが、ノイズが乗るというよりも「周囲の音と音楽が一体になって聞こえる」という表現が近いだろうか。

地下鉄駅でOpenRun Proを使う。電車が入ってくればすぐに気が付く

 筆者は音楽にこだわる人間ではなく、美しい音楽をノイズキャンセリングイヤホンで味わって聞く、というタイプの人間ではない。OpenRun Proを使ってみると、明らかにOpenCommよりも音質はよく、全領域でいい感じに音が出ているため周りの音があってもより気にならない、と感じる。これ以上の音の表現は筆者には難しいところだが、OpenRun Proのいいところは「音質は十分でありながら、周りの音も聞くことができる」点だと強く思う。

室内でも屋外でも、常に周りの状況を把握できる

【まとめ】音楽と共存するのならピッタリなイヤホン

 たとえば室内に籠って音楽を聴くのならば、ノイズキャンセリングイヤホンがいいかもしれない。しかし「音に集中しすぎて宅配便が来ても気が付かなかった」なんて経験がある人もいるのではないだろうか。OpenRun Proなら十分いい音で音楽を聴きながらも、常に周りの音も耳に入ってくる。「没入感が欲しい」人はそれが許せないかもしれないが、仕事をしながら音楽を聴き、来客などが来ることも常に気にしなくてはならない、という忙しい生活を送っていると、骨伝導式が自分にとってはもっとも使いやすいイヤホンだと感じるのだ。

電車の車内でも異音が発生すればすぐに気が付く

 昨今は電車内でも凶悪事件が起きるなど、周りの動きに気を付けなくてはならない状況が増えている。あるいは自分のバッグのファスナーが開いていて、隣に立っていた人から「開いていますよ」と好意的な注意を受けたときも、骨伝導方式のイヤホンならすぐに気が付く。

 没入感を求めるなら密閉型のイヤホンがまっさきに選択肢に上がるだろうが、「生活の中に音楽を取り込み、生活の一部として共存させる」そんな日常を送るのであれば、骨伝導方式のOpenRun Proは最高のパートナーになるのではないだろうか。

音楽中心の生活ではなく、音楽と共存する生活に向いている

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