Zen 4対応のチップセットは
Globalfoundriesが製造する可能性大
最後にチップセットについて。機能的にはRyzen 6000 Mobile(下の画像)に準ずる形での機能が実装されると思われる。
2CUでFreeSYNCやHDR Pipeline、DisplayPort 2などをサポートする意味があるか? を考えるとこのあたりの提供の有無は不明だし、Wi-Fi 6EはPCIeの先に拡張カードを取り付ける形での提供になるだろう
このうちUSB4に関してはCPU側(のIOD)に実装されることになるだろう。PCIeに関しては、CPUからはPCIe Gen5 x16(GPU用)とx4(NVMe用)が出て、チップセット側からはPCIe Gen4になるものと思われる。
このチップセットであるが、型番的に言えばX670(仮称)になるであろうハイエンド向け、当初はTSMCの6nmで製造すると思っていた。Ryzen 6000 Mobileではこれで実装されているので、それをそのまま持ってくればいい。
この方式は前例があって、X570がそれである。実はRyzen 3000シリーズのIODがそのまま利用されている。先にIODの内部で面積が「減らない可能性もある」と書いたのは、ひょっとするとX670(仮称)にもそのままIODが流用される可能性が残されているからだ。実際、昨年の年末まではこの公算が非常に高そうだった。
これがひっくり返ったのは、昨年12月23日、GlobalfoundriesがAMDと2025年までウェハー供給契約を延長、AMDは2025年までに総額21億ドル分のウェハーをGlobalfoundriesから購入すると発表したことだ。問題はそうなるとGlobalfoundriesでなにを作るのか? という話になる。
1つはローエンドのAシリーズAPUを、Zen 2世代まで引き上げることだ。AMDではまだA12-9800が販売されており、Chromebook向けなどに提供されているが、さすがにいまさらExcavatorコアはないだろうし、製造プロセスも28nmである。これを12nmをベースとしたPicassoに切り替えるだけで競争力は大分増すだろう。
ただこれだけで21億ドル分をまかなえるとは到底考えられない。となると可能性として大きいのはチップセットである。Globalfoundriesの12nmならPCIe Gen 5は厳しいが、Gen 4ならすでに稼働しているので十分いける。
USB4は厳しいかもしれないが、これをCPU側に肩代わりしてしまえば、USB 3.2 Gen2x2まではすでにRyzen 5000シリーズで実績がある。システムの数だけチップセットは必要なので、実際インテル600シリーズは14nmで製造されており、Globalfoundriesの12LP(やその後継の12LP+)なら十分だろう。
X670(仮称)もGlobalfoundriesに委託するのか、それともその下のグレードだけなのかは現状判断はできないが、従来ミドルレンジのチップセットは台湾ASMediaが設計、製造はTSMCの28nm(400世代は55nmで、500世代は40nmと言われていたが、一気にスキップしたらしい)であり、これらもGlobalfoundriesに切り替わるのではないかと思う。ただしASMediaがGlobalfoundriesを使うかは微妙なところで、ひょっとすると全グレードともにAMDの設計・製造に切り替わるのかもしれない。
以上のように、不明な点は多い。Zen 4の内部構成の詳細は、製品が出てくるまでは明らかになりそうにないが、おそらくCOMPUTEXが開催される今年6月のタイミングでもう少し情報が出ることが期待できるので、そこまではお預けという格好だ。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ

