【前編】ソリッド・キューブ原田奈美社長インタビュー
初音ミク、アイマス、ウマ娘の「モーション」を担う会社ができるまで
2022年11月19日 15時00分更新
2009年ミクフェス(夏)でブレイクしたCGライブ
―― 現在、大流行しているCGライブですが、やはり初音ミクは早かったのですね。
原田 私たちがライブのモーションを担当したのは、「ミクフェス 09'(夏)」が最初でした。
―― 「ミクフェス 09'(夏)」は、初音ミク初のCGライブと聞いています。単に大画面を見せる形式ではなく、キャラクターがステージのスクリーンに立体的に映し出され、あたかも舞台上に存在しているように見える※という、CGライブの先駆けでもありました。
※舞台上に設置した透明なスクリーンに、初音ミクが歌い踊る動画をプロジェクターで照射。
原田 ミクフェスは、『初音ミク -Project DIVA-』の発売と同時期で、それ以来、私たちはゲームとライブを並行で進めていました。ライブでは歌やダンスの振りがあり、ゲームは演技とダンスといった感じですね。
―― 2007年から2009年あたりは、動画投稿プラットフォームとして「ニコニコ動画」が人気になって、アニメの振り付けを真似た「踊ってみた」動画や、手軽に3Dキャラを操れるMMDを使ったCG動画も大流行しました。「キャラクターが踊る」ことへの需要が可視化された時期でもありますね。
コラム:アニメ・ゲームで盛り上がった「キャラクターのダンス」
2007年から2009年にかけて、「キャラクターとダンス」の大流行があった。
ファンのプラットフォームは2007年にβ版サービスを開始した動画投稿サービス「ニコニコ動画」。ゲームやアニメを見たファンが、ニコニコ動画をプラットフォームとして「踊ってみた」「踊らせてみた」など、様々な二次創作コンテンツを作ることで、公式の作り手もその盛り上がりを受けて、アイドル作品を中心に、「キャラクターのダンス」が流行り始める。
【アニメ】では、2006年4月放送の『涼宮ハルヒの憂鬱』でハルヒたちが踊るエンディング「ハレ晴レユカイ」が話題になっていた。そして2007年1月26日に発売された、DVD最終巻「涼宮ハルヒの憂鬱7」映像特典に、ダンスのフルバージョンが収録されたことで、ニコニコ動画で「ハレ晴レユカイ」の踊ってみた動画が一世を風靡した。
一方【ゲーム】では、2007年1月25日『THE IDOLM@STER』のXbox 360版が発売された。キャラクターのダンスパートが人気になり、ゲーム動画を使用し、様々な作品を取り入れた動画“ニコマス”が大流行。
そして、「キャラクターとダンス」における、もう1つの立役者が【MMD】だ。
2008年2月24日に、樋口優氏が開発したフリーの3DCGムービー製作ツールMikuMikuDance(以下MMD)が公開される。最初に配布されたモデルデータは初音ミクだった。3Dキャラクターのモデルやダンスを自由に作成できるMMDの登場によって、様々なキャラクターの踊る動画が量産された。
また、同時期(2008年2月28日)には『THE IDOLM@STER LIVE FOR YOU!』(Xbox)が発売されており、公式とファン相互のキャラクターダンスのブームが続いていく。
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