時代劇の町人はなぜ真昼間からそば屋で酒を呑んでいたのか
大衆食としてそばが流行った江戸の末期には、今みたいに切ったそばを冷蔵庫にストックなんかできませんから、注文が来てから打ち始める。すると出てくるまでが長い。それを待つ間、客は天ぷらなんかを肴に酒を飲みつつ、くだを巻いていたそうで。
ほれ、昔の時代劇によく出てきましょう。おねーちゃんの着物の裾をまくり上げて「いやんもう」とか言わせてしまう、今時だったらSNSで跡形もなく木っ端微塵にやっつけられそうなヘベレケのおっさんが。あれです。
しかし、そばはゆでたてがうまいのは今も昔も変わりません。出てきたらちゃちゃっとやって帰ったんでしょう。見方を変えれば、ダラダラ昼飲みした後のシメのようなものだったのかも知れません、そばってものは。
そんなアクティビティを現代のキャンプで展開できたら最高ですが、クルマで行くデイキャンでお酒ダメ絶対。
そこで小分けにゆでたそばを都度すする、前に試したシェラカップ式わんこそばが再浮上してきたわけです。あれなら一気にかっこむ必要もない。ゆでてはすするを繰り返しながら、好きなタイミングで、好きなだけゆでたてのそばが食べられる。最高です。
最適なそばの分量とシェラカップのサイズ
しかしシェラカップ式わんこそばの問題は、食べた気がしないこと。300mlのシェラカップでゆでられるそばの量は、およそ15g。伝統的わんこそばと同じ量で、次々とそばがやってこないことには耐えられない分量だったのであります。
ならば一人前未満、わんこそば以上。そんなそばの適正量はどれくらいか。まず食べた気になる「一口分」を知ろうということで、箸でつまみ上げたそばをキッチンスケールで計って平均すると、だいたい30g。
私の場合、ちゃんと咀嚼しないと次が口に入らない分量で、箸も止まって若干間が開きます。前回の15gに対して倍の分量ですから、一人前150gを5回に分けてゆでることになります。シェラカップも倍の600mlクラスでいいはず。
このサイズになると「深型」と呼ばれるシェラカップも選べます。サイズ、形状の違いを確認するために他と並べてみました。どちらもスタッキングできるざるが用意されています。
一般的なシェラカップは開口部が広く、底は小さく、浅い。一方、深型はアメリカのバックパッカーが開発した「ロッキーカップ 」を模したもので、開口部が狭く、底は広く、高さがある。底が広くてバーナーの上で安定するというメリットがあるので、できればこちらを使いたい。
しかし形の違いで気になるのは吹きこぼれ。ステンレス製の鍋は、いきなりボコっと吹く「突沸」が起きやすく、それは開口部が小さいほど起きやすいそうで、深型は不利のはず。そこで標準タイプのチャムスと、深型のベルモントを試したところ、どちらも突沸は起きるし、その頻度にも大差がない。おそらく容量が小さいせいでしょう。ならば深型が良かろう。
ということで今回は深型シェラカップ600mlを採用。ベルモントの製品は日本製なのに安いのがいいですな。なにしろ今回は2個使うので。
この連載の記事
-
第91回
自動車
ガソリン最期の日まで走り続けるのはロードスターかジムニーか -
第89回
自動車
続・愛のムカ着火ファイヤー ざるそば一人前への挑戦 -
第88回
自動車
愛のムカ着火ファイヤー -
第87回
自動車
シェラカップで手打ちそばをゆでたら旨いのはご存知ですか -
第86回
自動車
ロードスターに必要なのはフィルターかマスクか -
第85回
自動車
ブロアーがハンディクリーナーより小さいとは何事か -
第84回
自動車
ロードスター、キャンピングカーになる -
第83回
自動車
キャンプの定番に見放されていたロードスターたちへ -
第82回
自動車
バーナーを買ったら人生おしまい -
第81回
自動車
ロードスターにはコーヒーが必要です - この連載の一覧へ