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「世界のベストプラクティスを活用した新しいコラボレーションの形を提案」、来年2月には日本語化も

リモートワークで急成長、オンラインホワイトボード「Miro」が日本で始動

2021年11月22日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 オンラインコラボレーションホワイトボードの「Miro(ミロ)」が2021年11月17日、日本進出を正式発表した。すでにユーザー数は世界2500万人以上を数え、11万の企業が導入。日本でもヤフーなど多数の企業導入実績を持つ。日本市場での戦略は何か?

オンラインホワイトボード「Miro」の概要

Miro 最高収益責任者のゼニア・ロギノフ(Zhenya Loginov)氏、ミロ・ジャパン代表執行役社長の五十嵐光喜氏

 Miroは、ユーザーが自由にマインドマップを作成、共有できるオンラインのホワイトボードサービスだ。リモートワークの分散環境におけるコラボレーションが容易になることから、製品開発やデザインシンキングなどの用途で人気を集めている。1つのボードは1000人以上が同時に共同編集できる。

記者発表会のプレゼンテーションもMiroのボードを使って行われた。本稿の画像はこのボードから切り出したキャプチャである

 特に世界中でコロナ禍によるリモートワークが増加した2020年9月からの1年間は、顧客ベースが4万社から11万8000社と195%成長、ユーザー数も800万人から2500万人と212%成長した。Miroの最高収益責任者であるゼニア・ロギノフ氏は、「Fortune 100企業の95%がMiroユーザーだ」と胸を張る。なお、コロナがひと段落した後も、働き方が完全に以前の形に戻ることはなく、引き続き成長できると見ているという。

 Miroの導入例として、6万人が分散環境で働き、効果的にプランニングができないという課題を解決したサウスウエスト航空を挙げた。導入後はセキュリティと規則遵守をしながらコラボレーションができるようになり、29のチームが1000以上のボードを作成するなど、利用が進んでいるという。

 企業としてのMiroは2011年、クリエイティブエージェンシーを率いていたアンドレイ・クシッド氏、オレグ・シャーディン氏が、グローバルチームにおけるコラボーレーションツールの提供を目的に創業(湯治の社名はRealtimeBoard)。その後、2016年にエンタープライズ向けサービスをローンチ、2019年に「Miro」にリブランドした。社名はスペインの画家、ジョアン・ミロにちなむという。現在までの調達額は7500万ドル。Atlassian、Microsoft、Googleなども、投資やアドバイザーで参画している。

Miroの沿革。2020年に1000万ユーザーに、そして2021年に2500万ユーザーに到達する急成長を見せている

 Loginov氏はMiroが選ばれる理由として、「最高のビジュアルコラボレーションツール」「100以上の業務アプリケーションとの連携」「優れた操作性」「創造的なユーザーが集うコミュニティ」の4つを挙げる。

 またSlack、Microsoft、Google、Zoom、Dropboxといった業務アプリケーションとの連携が可能。ユーザーコミュニティでは、200以上のテンプレートに加えて、ユーザーが作成したカスタムテンプレート550種以上が「Miroverse」というプラットフォームで共有されている。ユーザーコミュニティには1万人以上が参加しているという。

Miroの特徴と顧客の選択理由

 日本はMiroにとって11番目の拠点となる。ミロ・ジャパン代表執行役社長として日本事業を率いる五十嵐光喜氏は、「世界のベストプラクティスを活用した新しいコラボレーションの形を提案し、日本企業の創造環境を支援する」と意気込みを語る。同日よりWebサイトが日本語となり、製品は2022年2月1日に日本語化する。

 すでに日本でもTOPIX 100の50%がMiroを利用しており、ユーザーは50万人、有料版サービスを使う企業は3800を数える。五十嵐氏は、会議やワークショップ用途に導入した国内メッセージアプリ最大手、スクラムチーム/営業/トレーニングチームなどの共同作業でMiroを活用しているヤフー、ソフトウェア開発でMiroを使っているデンソー クラウドサービス部などの事例を紹介した。

国内メッセージアプリ最大手企業における活用事例

ヤフーにおける活用事例

デンソー クラウドサービス部における活用事例

今後3年間で国内ユーザー数500万人超え、有料顧客1万社を目指す

 国内事業の目標は、TOPIX 100企業における採用率を現在50%から今後3年間で95%に増やし、ユーザー数は500万人超えを目指す。有料顧客は1万社達成を掲げている。

 そのための戦略として、世界のベストプラクティスの紹介、パートナー、ローカルコミュニティ、人材の4つを進める。

 パートナーでは同日、NRI、日立ソリューションズ、CTCエスピー、TOOの4社と提携を発表した。4社ともにMiroを導入しており、それぞれの分野で自社で培った知見とともに提案していくという。

 Miroの特徴として五十嵐氏は、「アイディエーションからタスク管理、ワークフローもサポートできる」と説明する。「日本で競合は特に想定していない」とし、「この分野の認知度を上げていくことが課題」と述べる。ミロ・ジャパンは今後3年で100人体制を目指すが、まずはカスタマーサクセス、カスタマーサポート、プリセールスの3部門を立ち上げ、利用側の支援を強化する。日本でよく使われているアプリやツールとの連携も進めていくという。

 製品開発の方向性としては、「広範囲に使われるようになり、管理機能が求められている」として、今後はユーザビリティの拡張と並行して管理機能を加えていくとした。

 国内のユーザーコミュニティについては、Miroverseの日本版「J-Miroverse」を立ち上げ、日本のユーザーによるベストプラクティスの共有を促進する。また、「J-Community on Miro」として、業種を超えた交流をリアルやMiro上で展開することも考えているという。

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