バーナーを買い過ぎてしまった男
すべては前回から始まりました「アウトドアで手打ちそば」シリーズ(そう、シリーズです)のため。手打ちそばをゆでるには、大きな鍋、大量の湯、そば投入から瞬時に再沸騰させる強い火力が必要なのであります。
前回は弱い火力で済むよう、小分けでゆでる「わんこそば方式」を試しました。これはひとまずの成功を収めたものの、なんだかせわしない。では一人前のそば150gを、なるべく小分けにせずゆでられるバーナーはないのか。
そんな考えを巡らせているうちにバーナーは増えに増えて計8個。まだ増えそうな勢いですが、そのうちの一個がムカであります。
本体価格は1万7050円。必須となるガソリンボトルは別売り。私は一番小さい実容量280mlの「SOD-700-04」2640円を購入しまして、あわせて2万円ほどの出費に。旨いそばが食えると思えば安いもんだ。
無論、火力だけを取り上げれば、ムカを上回るガスバーナーもいくつかございます。ですがムカの良さは、やはり燃料がガソリンであること。ガソリンにはガスが逆立ちしても敵わない点がいくつかあるのです。
ガスは低温に弱い
CB(カセットボンベ)缶やOD(アウトドア)缶には液化したガスが入っていますが、沸点を下回ると気化しません。おまけに燃焼のため気化させると、気化熱で液化ガス自身の温度がグッと落ちて、気化を妨げるから困ったものです。
CB缶、OD缶に使われるガスは、ノルマルブタン、イソブタン、プロパンの3種類。沸点はそれぞれマイナス0.5℃、マイナス11.7℃、マイナス42.1℃。
このうち氷点下でも安定して使えるのは、先に述べた事情でプロパンだけ。3本298円で売られているノルマルブタン100%のCB缶は、気温が10℃を下回るともういけません。
だったら全部プロパンにすればいいじゃないかと思うのですが、プロパンは蒸気圧が高いので薄っぺらなスチール缶では持たない。そこで低温対応のガス缶は、3種のガスを混合することで、想定する温度帯への対応をはかっているのであります。
私が入手した中で、もっとも低温に強そうなのはEPIgas(イーピーアイガス)の「EXPEDITION」。これでマイナス20℃まで対応できるとメーカーは言っております。冬山に登るならこれしかないというものですが、内容量190gで実売553円。安いCB缶は250gで100円しませんから、まあ高い。
ですがこのEPIgasの製品、メーカーがSNSで明かしたところによれば、成分はイソブタンとプロパンで混合比率は6:4とのこと。国内で入手できる最もプロパン比率の高いOD缶です。それでもイソブタンの沸点を下回ると、気化するのはプロパンだけ。イソブタンは燃えずに残ってしまうのであります。
そこで最近はOD缶を倒立させ、気化させず液化した状態でバーナーまで送る「液出し」タイプのバーナーもあります。つまりガス缶を液体燃料と見做しているわけですが、だったら最初から液体燃料でいいのでは。
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