「ふるさと納税」について簡単におさらい
「ふるさと納税」は自分が生まれ育った地域や応援したい地域などの自治体に寄附できる制度。寄附額のうち自己負担額の2000円を除いた額が所得税と住民税から控除され、寄附した自治体からは返礼品を受け取ることができます。
この返礼品にはその地域で採れた米や野菜、魚、果物、工芸品など、さまざまなものがあり、それらを本来は税金として納めるお金で受け取れるところが魅力。寄附自体も難しくなく、複数ある「ふるさと納税サイト」からネットショッピング感覚で利用できます。
寄附額を税金から控除するためには確定申告が必要ですが、サラリーマンなどの給与所得者で1年間に寄附した自治体が5つ以内なら、「ふるさと納税ワンストップ特例制度(以下、ワンストップ特例)」が利用できます。返礼品と一緒に送られてきた申請書を寄附先の自治体に返送することで確定申告が不要になるので、手続きなども利用しやすくなっています。
ふるさと納税の控除の対象期間は、1月1日から12月31日までの1年間。所得税は寄附した年の所得税から控除または還付され、住民税は翌年度分の住民税から控除されます。なお、ワンストップ特例を利用すると、所得税からの控除は行われず、全額が翌年度分の住民税から控除されます。
「ふるさと納税」の控除限度額の計算方法
私たちの多くが故郷の自治体で教育や医療などの住民サービスを受けて育ち、進学や就職をきっかけに都市部に生活の拠点を移し、現在の居住地で納税しています。そのため都市部に税金が集中しがち。今は都会に住んでいても、自分の故郷にいくらかでも納税できる制度があっても良いのではないかという問題提起から、ふるさと納税制度が始まりました。
そのためふるさと納税の控除限度額は、住民税額の2~4割強に自己負担額の2000円を足した金額になります。この限度額を超えて寄附すると、自分のお金からの持ち出しに。そうならない範囲で、できるだけ多くのふるさと納税をするためには、所得税と住民税の控除額がいくらになるのか、しっかり計算する必要があります。その計算式は次のようになります。
所得税の控除=(ふるさと納税額-2000円)×所得税率
住民税の控除(基本分)?=(ふるさと納税額-2000円)×10%(住民税率)
住民税の控除(特例分)?=(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%<基本分>-所得税率)
所得税率は課税金額によって5~45%まで7段階に区分され、人によって異なります。また、扶養家族となる妻、高校生や大学生の子どもがいるかどうかなどの家族構成、住宅ローン控除や医療費控除の有無などによっても所得税額は異なります。なお、通常の控除のみの給与所得者のふるさと納税額(年間上限)の目安は次のようになります。
※1「共働き」は、ふるさと納税を行う本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う人の配偶者に収入がないケースを指します。
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
ふるさと納税サイトのシミュレーションで目安を計算
ふるさと納税の控除限度額を明確に知りたいものの、計算するのはやや面倒…。ということから、実際には簡易シミュレーションで控除限度額の目安を算出する人が多いです。主なふるさと納税サイトではシミュレーションできるサービスを用意しています。老舗サイトの「ふるさとチョイス」には「かんたんシミュレーション」と「控除上限額シミュレーション」があるので、世帯主の年収600万円、専業主婦の妻と高校生の子ども1人のケースで試算してみました。
かんたんシミュレーションでは家族構成と年収を選択するだけと簡単。控除上限額は約60,000円という結果になりました。
一方、控除上限額シミュレーションでは社会保険料等の金額、生命保険料の控除額、地震保険料の控除額などの項目があり、それらにも記入したところ、控除上限額は74,139円と明確な金額が表示されました。詳細な情報を入力してシミュレーションすることで、より正確な控除上限額を知ることができます。
ふるさと納税の控除限度額いっぱいの寄附を行う場合は、税金から控除されるさまざまな情報を集めてシミュレーションすると、より明確な限度額を知ることができます。とはいえ管理シミュレーションでもある程度の目安がわかるので、「いくらまでふるさと納税できる?」と疑問に思った時に活用してみて下さい。