年末の予定を考え始める今頃は、ふるさと納税を意識する時期

今さら人に聞けない「ふるさと納税」について、わかりやすくお教えします!

文●綿谷禎子 編集●金子/ASCII

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「ふるさと納税」は都道府県、市区町村に寄附する制度

 私たちは今、住んでいる場所で納税しています。そのため税金が都市部に集中しがち。それを是正し、地域を活性化するために制度化されたのがふるさと納税です。

 “納税”という言葉が付いていますが、総務省の説明にもあるとおり、実際には寄附。都道府県や市区町村の自治体に寄附した自己負担額の2000円を超えた金額が、原則として所得税や住民税から控除されます。つまり自分が支払う税金の一部を、自分が生まれ育った地域などに納めることができ、地域の発展に役立ててもらえます。

「ふるさと納税」の情報は総務省「ふるさと納税ポータルサイト」もご参照ください

 “ふるさと納税”という名称ですが、寄附先は自分のふるさとでなくても構いません。自分がよく遊びに行く場所や応援したい場所など、好きな場所の応援したい事業に寄附することができます。

寄附のお礼としてその地域の特産品が

 ふるさと納税では寄附のお礼として、返礼品が用意されています。ふるさと納税の魅力はまさにコレで、返礼品にはその地域で採れた米や野菜、魚など、実にさまざまなものがあり、実際には多くの人がどの返礼品が欲しいかによって、寄附する自治体を選んでいることが多いようです。

 人気の返礼品を用意する自治体には多くの寄附が集まります。中には1年分の市民税に相当する金額をふるさと納税で得られた自治体もあるほど。そのため過去には、特に目立った特産品のない自治体がAmazonのギフト券などを返礼品にしたり、寄附額の50%近い返礼品を用意したりと、各自治体で返礼品競争が加熱したこともありました。

 2019年6月1日より一部の制度が改正され、返礼品は寄附額の3割以下、地場産品に限定されることになりました。また新たな「ふるさと納税指定制度」も施行され、現在はふるさと納税の対象となる自治体を総務大臣が指定することで、この制度が本来の目的通りに運営されています。

ふるさと納税サイトからネットショッピング感覚で寄附できる

 返礼品が寄附額の3割以下に限定されたといっても、それらに寄附した金額(自己負担額の2000円を除いた額)が結果的に税金から控除されます。返礼品の紹介やふるさと納税の申し込みができる「ふるさと納税サイト」の種類も増え、手軽に利用できるようにもなりました。中には寄附額にポイントが付く、ふるさと納税サイトもあります。

 2008年の制度開始当初から運営している老舗サイト「ふるさとチョイス」を始め、「ふるなび」「さとふる」などが大手サイト。このほか楽天ポイントが貯まる「楽天ふるさと納税」、Pontaポイントが貯まる「au PAY ふるさと納税」、ANAのマイルが貯まる「ANAのふるさと納税」などもあります。

 ふるさと納税アプリ「ふるる」も登場。いつでもスマホで操作でき、初心者向けのチュートリアルで、わかりやすく解説してくれます。

 ふるさと納税サイトはさながら、地方の特産品のショッピングサイトのよう。肉、米といったカテゴリや寄附金額、ランキングなどから、寄附する自治体を探すことができます。

「ふるさとチョイス」人気ランキング(2021年10月28日時点)

 返礼品の人気アイテムは、米、肉、野菜、魚介など。中には、あまりの人気で地元以外ではなかなか手に入らないお酒や果物が返礼品になっていることもあり、そんなレアアイテムがふるさと納税で獲得できるのは魅力。ただ人気アイテムはすぐに限定数に達して“品切れ”になってしまうので、ふるさと納税サイトで欲しいものを見つけたら、すぐに申し込んでおきましょう。

「ふるさと納税」の控除限度額が約2倍に拡充

 ふるさと納税サイトを見ていると、いろいろな返礼品に目移りします。もちろん、多くの自治体に寄附して構わないのですが、控除されるのはふるさと納税の控除限度額まで。それ以上に寄附すると、その分は自分のお金からの持ち出しになってしまいます。

 この控除限度額は、個人の所得税と住民税の控除額によって決まります。つまりふるさと納税で最大限得するためには、その年の年収がいくらで、所得税や住民税がいくらになるのか目安が必要。だから今年1年の年収がより明確にわかる年末に、ふるさと納税をする人が多いのです。

 所得税や住民税の金額は、同じ年収であっても扶養家族の有無、住宅ローンや医療費控除の有無などによっても異なります。自分の場合の控除限度額はいくらなのか知っておくことが重要。詳しくは第2回で紹介しますので、ここでは控除額の概要を理解しておいてください。

ふるさと納税の控除額の仕組み(総務省「ふるさと納税ポータルサイト」より)

 2015年1月1日以降から、特例として住民税の控除額が増えたので、ふるさと納税で控除される限度額が約2倍に拡充されました。これまでより多くの寄附ができるようになったので、さらにお得になりました。

 なおふるさと納税の寄附額は、住民税は翌年度の住民税から控除され、所得税はその年の所得税から控除または還付されます。

特別な作業は「ワンストップ特例申請書」の郵送程度

 ネットショッピング感覚で寄附できるふるさと納税ですが、1つ特別な作業があります。それが「ワンストップ特例申請書」の提出です(サラリーマンなど給与所得者の場合)。ふるさと納税の未経験者は、難しく感じるかもしれません。ですがこの作業は、基本的にはふるさと納税した自治体から送られてくる書類(ワンストップ特例申請書)に記入をし、郵送するだけの簡単な作業です。もう少し具体的に見ていきましょう。

 そもそも、ふるさと納税で所得税や住民税を控除するためには、本来なら翌年に確定申告をする必要があります。ですがこの手続きを簡素化するために、2015年の4月1日から始まったのが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。

ふるさと納税ワンストップ特例制度の仕組み(総務省「ふるさと納税ポータルサイト」より)。

 これは1年間に寄附する自治体が5つ以内で、勤務する会社が税金の申告をしてくれている場合に活用できる制度。「ワンストップ特例申請書」を寄附先の自治体に提出することで、各自の確定申告が不要になります。寄附先が5自治体以内なら、同じ自治体に何度、寄附しても構いません。サラリーマンなどの給与所得者なら確定申告なしにふるさと納税が行えるのでとても便利です。

 ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用すると、所得税からの控除は行われず、全額が翌年度分の住民税から控除されます。そのため、次のようなステップになります。

従来のふるさと納税の場合 ふるさと納税ワンストップ特例制度の場合

寄附する自治体を選ぶ
   ↓
ふるさと納税をする
   ↓
翌年に確定申告を行う
   ↓
所得税から控除または還付される
   ↓
翌年度の住民税から控除される

寄附する自治体を選ぶ
   ↓
ふるさと納税をする
   ↓
「ワンストップ特例申請書」提出    │
   │
   ↓
翌年度の住民税から控除される

知っておきたい「ふるさと納税」の注意ポイント

 より便利になっているふるさと納税ですが、いくつか注意しておきたいポイントがあります。その1つが前述した、寄附額は控除される限度額の範囲内にしておくこと。その際、自己負担金の2000円は寄附額から差し引いて計算しましょう。

 そして寄附する時には、納税者の名前で行います。例えば扶養家族の妻が自分の名前でふるさと納税しても、実際に納税するのが夫の場合、税金は控除されません。

 また、ふるさと納税はネットショッピング感覚で利用できますが、返礼品のお届け日を指定できるわけではありません。特に季節の果物などは忘れた頃に届くことも。肉や魚などの日持ちしない食材は、1回で食べきれる量にとどめておくと、冷蔵庫に入らなくて困ることもありません。

 寄附先を選ぶ時に注意したいのが、返礼品がもらえる回数に制限をもうけている一部の自治体があること。その場合、2回目以降の寄附では返礼品がもらえません。寄附したい自治体では毎回、返礼品がもらえるのかどうか、申し込みのページで確認しましょう。

 最後のポイントが、寄附した後、返礼品と一緒に送られてくる「寄附金受領証明書」の納付日のことです。ふるさと納税の控除の対象期間は、1月1日から12月31日までの1年間。この分が今年の所得税の控除や還付、翌年度の住民税の控除の対象となります。

 今年分に入るかどうかは、寄附金受領証明書に書かれた納付日で決まります。ただ、この納付日は寄附した日とは限らず、自治体が寄附を受け取った日になるので、支払い方によってはかなりのタイムラグが生じることも。そのせいで納付日が年をまたいでしまうと、今年の控除になりません。年末ギリギリに駆け込みで寄附すると、来年度分のふるさと納税の対象になってしまうこともありえます。ふるさと納税をする時には、余裕をもって行うようにしましょう。

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