遠藤諭のプログラミング+日記 第106回
ブロックdeガジェット by 遠藤諭 016/難易度★★★★
サイコーにSTEMな玩具「アームトロン」を復刻してほしい
2021年10月06日 18時00分更新
今回のブロックdeガジェットでは、動く《現物》も《作品》も登場
米国では「理科」や「算数」ではなく「STEM」という科目で授業をすることがはじまっているだそうだ。これのポイントは《T》のテクノロジーと《E》のエンジニアリングが入っていて、さらにそれらを一緒に学ぶことだろう。プログラミングの影響で、動いて、使えて、なんぼという話になっている。
日本で発売された玩具や教材の中でも、もっともSTEM的だと思うのが、1982年にトミー(現タカラトミー)が発売した「アームトロン」(ARMTRON)だと思う。2つのスティックで、本物の産業用ロボットのような6軸の極座標型アームロボットを操作する。
「STEM」の一方、やはり米国の教育分野で注目されている言葉に「Tinkering」(ティンカリング)という言葉がある。もとは《鋳掛屋》とか《修理屋》の意味から来ているが、子どもの場合には分解していじくりまわすことをいう。
アームトロンは、中身がどうなっているのか? 発売時、子どもたちどころか理工系の大人たちの頭まで悩ませた。いちど、分解したら元に戻すのは至難の業だと言われている。それで痛い目にあうのもいいんじゃないか? その手ごたえこそがSTEMの本質であり、《ホンモノ》に迫るアルゴリズム的メカに触れられる。
米国では、1982年の映画『E.T.』に出てきた「SPEAK & SPELL」というこれまた歴史的なオモチャが、2020年に復刻されて大きな話題となった。日本では、ぜひともアームトロンを復刻発売してほしい。
今週の「ブロックdeガジェット」は、私が、歴史上最もクールなオモチャの1つだと思う「アームトロン」を作る。箱には「ロボット時代」と書かれているこの商品が登場した時代背景と、我々コンピューター業界の最新トレンドとは、実は密接なつながりがある。その関係とは? 動く《現物》と、最後に登場するコマ撮りアニメも、ぜひ見ていただきたい。
■ 「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」:https://youtu.be/xliRycGbG4Y
■再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PLZRpVgG187CvTxcZbuZvHA1V87Qjl2gyB
■ 「in64blocks」:https://www.instagram.com/in64blocks/
■『ティンカリングをはじめよう――アート、サイエンス、テクノロジーの交差点で作って遊ぶ』https://www.oreilly.co.jp/books/9784873117263/
遠藤諭(えんどうさとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。その錯視を利用したアニメーションフローティングペンを作っている。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。
Twitter:@hortense667この連載の記事
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