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Apple Music、DJミックスのロイヤリティを楽曲権利者にも分配へ

2021年09月10日 13時00分更新

文● 飯島恵里子/ASCII

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 アップルが手がけるApple Musicは、DJが作成したミックス音源においてオリジナル楽曲の権利者を正しく特定することで、すべての権利者に直接、ロイヤリティの支払いができるようにする革新的な新システムを開発したと、9月10日に発表した。

 オリジナル楽曲を認識する方法は、アップルが2018年に買収した楽曲を認識するサービス「Shazam」の技術を利用する。この新システムにより、ミックス制作に関わる権利を保有するすべてのアーティスト、クリエイターを適切に識別して、ロイヤリティの支払いをできるようにしたという。

 また、支払先はDJだけではなく音楽フェスティバル、クラブ、コンサートプロモーター、キュレーターやインディーレーベルなど、DJミックスのサプライヤーにも公平に支払いを実施していくとうたう。

 DJのCharlotte de Wittは「Apple Musicは、切れ目なく続くミックスにおいて、そのミックスにトラックが含まれたり、ミックスを作成したアーティスト本人に、公平な支払いを行う初のプラットフォームです。これは、誰もが公平に支払いを受ける、正しい方向への第1歩です。オンラインでミックスを公開していくことに大変興奮しています。クラブやフェスで瞬間的にプレイするのとは異なる取り組みです。これにより、私の作品を無制限に公開していくことができます」とコメントを寄せた。

これまで埋もれていた音源が配信される機会が到来

 音楽業界においては、オリジナル楽曲の権利者にロイヤリティが支払われることで、これまで様々な問題で許可されなかった楽曲やDJミックスを、ストリーミング配信できるというメリットがある。ドイツ・ベルリンを拠点とするエレクトリックの老舗レーベル「Studio !7K」のファウンダー Horst Weidenmueller氏は「これは、!7Kにとって晴れ舞台です。アップルとのパートナーシップを通じて、遂に、15年以上もマーケットに出回っていないDJ-Kicksの14の追加エディションを公開することができます」とコメントした。

 ベルギー発の世界最大級の音楽フェス「Tomorrowland」のHead of MediaであるFilip Teerlinck氏は「オンラインで開催した世界各地のTomorrowlandや、2020年12月31日に開催したTomorrowlandも楽しんでいただけます。以前はストリーミング配信することができなかったアレッソ、Amelie Lens、カール・コックス、Charlotte de Witte、デヴィッド・ゲッタ、Diplo、ハードウェル、メジャー・レイザー、マーティン・ギャリックス、ザ・チェインスモーカーズ、ティエストなどの伝説的なパフォーマンスのストリーム配信が開始となり、一つの魔法の場所で蘇るのです」とコメントを寄せ、さらに「2016年、2017年、2018年、2019年の100を超える象徴的なTomorrowlandのDJセットの記憶を辿り、没頭できることをうれしく思う」と過去のアーカイブをApple Musicで配信できることの喜びを語った。

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