「Steel Legend」と「Pro4」の中間に位置する新ブランド
ASRockのゲーム向けAMD X570マザー「X570S PG Riptide」をレビュー、ファンレスの実力もチェックしてみた!
冷却重視型のPCケースならヒートシンクのみでもOKか
こうしたSSDの組み込み場所を考える上でもちょっと気になるのが、X570S PG Riptideではチップセットの冷却がヒートシンクのみで、ファンを搭載していないことだろう。チップセットにX570を搭載するほとんどのマザーボードでは、ヒートシンクとファンを併用して冷却を強化していたが、対するX570S PG Riptideはファンレス仕様だ。
下位グレードのB550と異なり、PCI Express 4.0対応で対応レーン数も多いX570を搭載するマザーボードでは仕方のないところではある。しかし、だからこそファンを搭載しないことで安定性が損なわれてしまうのかどうかが気になってならない。そこでファンレスの実力を検証してみることに。
まずは、Western DigitalのPCI Express 4.0 x4対応SSD「WD_BLACK SN850 NVMe SSD WDS100T1X0E-00AFY0」を、CPUソケット近くのM.2スロットに組み込んで「Windows 10 Pro(64bit)」をインストールしてみた。この状態では、チップセット側には大きなデータのやり取りを行なうデバイスが接続されておらず、負荷は小さい。
計測で利用したのはHWMonitor 1.44、チップセットの温度は「South Bridge」の項目を参照した。起動後30分放置した時の温度は、ビデオカードの動作モードがセミファンレスモード(GPUの負荷が低い時はファンが停止)だと53度、アクティブファンモード(常にファンが回転している)だと48度だった。
次にWindows 10 Pro(64bit)をインストールしたWD_BLACK SN850を、チップセットに近い側のM.2スロットに挿してみた。Windows 10 Pro(64bit)のファイルはチップセットを経由してやり取りされる状態であり、先ほどと比べれば負荷は高い。
同じく起動後30分放置した時の温度だが、ビデオカードがセミファンレスモードの場合は71度にまで上昇した。ヒートシンクの表面を触ると「アチッ」と感じるレベルの温度になっており、このまま運用するのは少々不安を感じる。
一方でアクティブファンモードにすると、56度と大きく低下する。ビデオカードが搭載するファンからのちょっとした風があるだけでも、チップセットの冷却という意味ではかなり有効のようだ。
さらにビデオカードをアクティブファンモードにして、「PCMark 10」のストレージベンチマークテストである「Full System Drive Benchmark」を実行してみた。この時の最高温度は60度にとどまった。一般的な用途であれば、この程度の負荷に耐えられればおおむね問題ないだろう。
今回のテストはベンチ台で行なっているため、ケースファンによるエアフローは存在しない。そういった状況では冷却は不十分だが、ビデオカードが搭載するちょっとしたファンの風でも不安のないレベルにまで温度は低下した。
最近の冷却重視型ケースでは、前面ファンの風がビデオカードやチップセット付近にまで届きやすい設計になっている。こうした状況を考えるなら、チップセットの冷却はヒートシンクのみでも問題ない、と考えてもよいのではないだろうか。
低価格ながらも安心感のあるゲーム向けマザーボード
PG Riptideシリーズは、Steal Legendより下のブランドとして位置付けられるという。現状、X570 Steal Legendの実売価格が2万3000円前後であることを考えれば、X570S PG Riptideはおよそ1万9000円~2万円といったところだろうか。
この価格帯で考えればかなり充実した機能であり、お買い得感は高めだ。最近は、ビデオカードやSSDなど高性能なゲーミングPCを作りたい時に必須のパーツが高騰している。そんな中、少しでもコストを抑えながらも安心感のあるマザーボードを選べるのは、ありがたいことだ。
チップセットの冷却状況についても、多数のケースファンや外気をたっぷり取り込めるメッシュ構造を採用した冷却重視型のPCケースを利用するなら、不安を感じる必要はなさそうだ。ゲーミングPCを作りたいと考える時には、強力な選択肢の1つとなることは間違いない。
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