RTX 3050 Ti搭載で12万円切りの
低価格ゲーミングノート「GF63 Thin 10U」を試す
PCゲーマーが“ゲーミングPCに求める要件”のハードルは年々上がってきている。少し前までは60fpsで御の字だったものが、今ではフルHDで144fps以上だとか、レイトレーシングやHDRといったプラスαの画質まで視野に入るようになった。当然これらの要件をクリアーしようとすれば、購入予算は天井知らずで上がってゆく。特に最近はハイパワーGPUの値段も上がっているため、なおのことハイエンドを攻めるのは財布に厳しい。
しかし現実問題として、描画負荷の軽いゲーム(例えば「Rainbow Six Siege」や「Apex Legends」といったもの)で画質をある程度絞れば、“普通に遊べる”ハードで十分、という人もいるだろう。144fps以上を普通と言い切るプレイヤー層も増えているが、あえて60fpsで程良く遊べる環境に注目したい。
そこで注目したいのがMSI「GF63 Thin 10U」のエントリーモデルである「GF63-10UD-059JP」だ。CPUにインテルの“Comet Lake”世代のモバイルCPU「Core i5-10500H」を、GPUにNVIDIAのモバイル向けGPU「GeForce RTX 3050 Ti」構成ながら、実売11万円台という安さが売りだ。今回はこのGF63-10UD-059JPを簡単ではあるがテストしてみたい。
今回テストしたGF63-10UD-059JPの主なスペック | |
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ディスプレー | 15.6インチ(1920×1080ドット、ノングレア) |
CPU | インテル「Core i5-10500H」 (6コア/12スレッド、2.5〜4.5GHz) |
GPU | NVIDIA「GeForce RTX 3050 Ti」(GDDR6 4GB) |
メモリー | DDR4-2933 8GB×1 (空きスロット×1、最大64GB) |
ストレージ | SSD 512GB(M.2 NVMe) |
無線LAN | Wi-Fi 6(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
インターフェース | USB 3.2 Gen 1 Type-C ×1、USB 3.2 Gen 1 Type-A×3、ギガビットLAN×1、HDMI×1、ヘッドホン出力(ハイレゾ対応)、マイク入力 |
バッテリー | 51Whr、4500mAh |
バッテリー駆動時間 | 最大7時間 |
本体サイズ | 359(W)×254(D)×21.7(H)mm |
重量 | 約1.86kg |
贅沢ではないが必要な要素は全て搭載
「GF63 Thin 10U」はCPUや液晶ディスプレーのスペック違いで3モデルが用意されているが、今回レビューするGF63-10UD-059JPはCPUがCore i5(上位はCore i7)、かつ液晶のリフレッシュレートが60Hz(上位は144Hz)のモデルだ。
CPUはCore i7の方が……と思うかもしれないが、上位モデルとCPUのコア数は変わらず、かつRTX 3050 Tiのパフォーマンスなら144Hzの液晶だと(ゲームによっては)持て余す可能性もあるため、上位モデルとの決定的な差はない。CPUと液晶のコストを抑えていても、SSDに512GB(NVMe M.2)を採用しているなど、ツボはしっかり押さえている。
メモリー8GBなのでゲーム中は他のアプリを落とすなどの工夫が必要になるが、ライトに楽しむ分には十分。1スロット空いているので必要なら増設するとよいだろう。本機の場合は保証の関係上、購入時にカスタムできるショップで買うことをオススメする。
全体の構成はごく標準的な15インチ級中型ノートPCといった感じだが、厚さ21.7mm、重さ1.86kgと“程々に軽く移動もしやすい”設計になっている。ゲームを楽しむのはもちろん、搭載されたウェブカメラを利用してテレワークにも活躍するだろう。
搭載されたGPU(RTX 3050 Ti)は最新のAmpere世代なので、無償で利用できるツール「NVIDIA Broadcast」を組み合わせることで、強力なノイズキャンセルも利用できるなど、ゲーミングノートでありながら仕事にも利用できるポテンシャルを秘めている。
ただ、GF63 Thin 10U自体がコストを強く意識した製品だけに、搭載インターフェースは必要なものを最小限、といった感じだ。それでも有線LANや左右に配置されたUSB Type-Aポートといった重要な装備は全部載せてある。近年標準装備化しているUSB Type-Cは右側面にのみ実装されているが、これもType-Aと同じ5Gbps動作のUSB 3.2 Gen 1仕様。また、このUSB Type-CポートはDisplayPort Alt Modeには対応していないので、外部ディスプレー出力を使うには背面のHDMIを利用しよう。
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