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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第623回

Lakefieldが生産終了、Sapphire RapidsはPCIe Gen5とCXL 1.1をサポート インテル CPUロードマップ

2021年07月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Alder LakeとRaptor Lakeは
チップセットが共通「らしい」

 ついでにAlder Lakeとその後継のRaptor Lakeの話をしよう。Alder Lakeは連載576回で触れたが、Golden CoveとGraceMontのHybrid構成になることが公式に明らかにされている。このAlder Lake、いろいろ情報が錯綜していてわからないのだが、話をまとめると以下のようになっている。

  • 以前はモバイルが先行し、デスクトップは2022年に入ってからという話だったのが、今はむしろデスクトップが先行して2021年10~11月にまずハイエンドSKU(Kシリーズ)が投入、残りのデスクトップ向けとモバイル向けSKUは2022年のCESで発表され、2022年第1~第2四半期に投入される。
  • Alder Lake世代は最大でも8+8(big、LITTLEが各8コア)構成。SKUによってこの数は減る。
  • PCIeはGen5サポートとされるが、PCIe M.2に関してはGen4のまま据え置きとなる。
  • メモリーはDDR4とDDR5、モバイル向けにはLPDDR5と一部LPDDR4xのサポートもある「らしい」

 投入時期については、やや疑問が残るところではある。ただしまごまごしていると3次キャッシュを増量したZen 3 Ryzenが投入されてしまいかねないから、その前に投入したいという気持ちはわからなくはない。

 謎なのがPCIe Gen5のサポート。時期的には問題ない。すでに多数のベンダーからPCIe Gen5対応IPがリリースされ、周辺チップ(Clock Generator/ReTimer/Buffer/PMIC/etc...)もだいぶそろってきたから、実装そのものはできる。ただPCIe Gen5対応のGPUがない段階で、先行してPCIe Gen5対応の構成にするかどうかというあたりだ。

 これもひょっとするとZ690(?)チップセットのようなハイエンドはPCIe Gen5対応、H670(?)やB650(?)チップセットのようなメインストリーム向けはPCIe Gen4対応という形になるかもしれない。

 なにが違うのかといえば、PCIe Gen5対応のReTimerやBufferチップの類を実装するか、Gen4対応のものを使うかの違いである。まだGen5対応の製品は高価であり、メインストリームに入るのは2022年後半からと思われる。おそらくRaptor Lake世代からGen5を全面サポートで、それまでは特定SKUのみGen5対応という形になりそうだ。

 もっと不明なのがメモリーだ。DDR4とDDR5の両対応そのものは不可能ではないが、激しく機能が違う(DDR5はいろいろ新機能てんこ盛りになった)ので、両対応のコントローラーを作るのは不可能ではないが大変だろうし、もちろんスロットも互換性がない。

 さらに問題なのはビットクロスの時期である。以前、DDR4とDDR5の生産量が逆転するのは2022年と予想されていたが、昨今ではこれが2023年にシフトしている。2022年中はサーバー向けと、ごく一部ハイエンドデスクトップ向けに限られそうだ。

 この状態で、本当にAlder Lake搭載マザーボードがDDR5をサポートするのか非常に疑問である。上の予測があたって、本当にLGA 1700マザーボードが2021年中に投入された場合、メモリーに関しては引き続きDDR4のままの公算が高い。

 というあたりまでの話は、実は枕である。このAlder Lakeの後継がRaptor Lakeになるという話(というか、コード名)は知られていたが、現時点では詳細が一切明らかになっていない。なっていないのだが、ひょんなことからこのRaptor LakeとAlder Lakeのチップセット(PCH)が同じであることが判明した。

 PCIの標準化作業をするPCI-SIGや、USBの標準化作業をするUSB-IFと同様に、SATAもSATA-IOという団体が標準化を行なっている。ここにあるProduct Listページで、インテルのSATAデバイスを選ぶと6ページ目の一番下に“Intel Platform Controller Hub (PCH) - Device ID 7AB0 to 7ACB and 7A30 to 7A4B (In-Box Compatible ID)”という製品がある。

赤枠と赤下線は筆者が追加

 この概要のところにはっきりと“Codename Alder and Rapter Lake PCH-S SATA Contoller”とあり、つまりこのPCHはAlder LakeとRaptor Lakeで共通であることが判明した格好だ。

 もちろんこれはPCHが共通というだけの話で、マザーボードが共通とは限らない。先に書いたようにDDR5はRapter Lake世代で有効化され、Alder LakeはDDR4のみの可能性が高いしPCIeも異なるだろうから、おそらく共通ではない。下手をするとVRMの仕様が変わって、「Raptor Lake対応マザーでAlder Lakeは動くが、逆は動かない」可能性もある。

 とはいえ、このところ新しいCPUに合わせて新しいマザーを必要とするのが通例になっており、後方互換性がないことも珍しくなかったため、Alder LakeとRaptor Lakeでどの程度互換性があるのか少し楽しみである。

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