玉川社長と振り返った「みんなのSORACOM」6年間の軌跡、そしてスタートライン

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

6年間で見えてきた、いくつかのブレイクポイント

大谷:初めてソラコムを知る読者のために、6年間の感想を簡単に振り返ってもらえますか?

玉川:2015年にSORACOMのサービスを出したときは本当に楽しかったけど、2016年は「もっと、もっと」という気持ちが強くてサービスをどんどん開発しました。2017年はグローバルSIMの初期版ができ、KDDIグループ入り。当時はまだ8万回線くらいでしたけど、KDDIのサポートをいただき、導入も増えてきました。

2018年はポケトークでの採用が大きかったですね。2019年は北米での採用やビジネス展開をがんばって、2020年はコロナ禍もありましたが、ニチガスさんの85万台のデプロイがありました。スイングバイIPOを発表したのも昨年ですね(関連記事:グローバルコネクティビティを目指すソラコム、IPOはKDDIとの「スイングバイ」)。

大谷:振り返って、ブレイクのきっかけになるポイントってありましたか?

たとえば、ポケトークのSORACOM採用って、私にとってみるととても意外な感じだったんです。いわゆるIoTとはちょっと違うし、法人向けでもない。でも、SORACOMがジャンプアップしたきっかけがいくつかあったとしたら、ポケトークのSORACOM採用は確実にその中の1つだと思うんです。

玉川:ポケトークは大きかった。そういう意味ではニチガスさんもそうですね。

そう考えれば、当初から比べた予想外はいくつかあって、クラウドサービスも当初はAWSやAzureにつなぐことをメインにやりましたが、自分たちでもSORACOM Lagoonのようなクラウドサービス作り始めたのは意外かもしれません。デバイスという観点では、IoTボタンも大きかったです。

大谷:確かに、通信とクラウドの会社だったソラコムが自前のハードウェア作ってしまうのだから意外でしたね。

玉川:もともとWeb系の開発者にIoTを作ってもらうためにIoTボタンのプロジェクトが起こったのですが、正直自分たちで作れるの?という疑問ありました。でも、AWSと組むことでIoTボタンを世に出すことができた。これは想定できなかったことかもしれません。

もっとも大きな予想外はKDDIグループ傘下に入ったことですね。KDDIに入ったのは2017年なので、初めて2年目。もう4年経っていますが、とてもいい関係だと思っています(関連記事:ソラコム玉川社長に聞いた「KDDI入り」の背景とソラコムのメッセージ)。

大谷:今から考えて、大変なことはありましたか? まあ、玉川さんは経営楽しんでやっている印象あるのですが。

玉川:経営やっていると、いいニュースと悪いニュースが毎日のようにやってきます。だから、「おおっ、そう来るか」みたいなことはつねにあります。

ただ、コロナウイルスみたいなことはまったく予知できなかったので、変えられるところは変え、変えられないところは受け入れるという姿勢でした。まあ、よくないこと、大変なこともありますが、SORACOMって自分たちで好きで始めたサービス。なにがあっても、自分たちの責任だし、オーナーシップを持ってやっていこうと思っています。

コロナ禍ではプラットフォームビジネスの強みを実感した

大谷:ちょうど話が出たので聞きますが、コロナウイルスの影響はありましたか?

玉川:最初はまずいなと。IoTって新規事業として推進されることが多いので、やはりプロジェクトはストップしてしまう懸念はありました。でも、ふたを開けてみると、プラットフォームとして多くのお客さまに使ってもらっているという事実を再認識できました。

というのも、コロナ禍でマイナスの影響を受けている業界だけでなく、エッセンシャルビジネスも含めたプラスの影響を受けている業界もあり、結局は両者がバランスアウト(均衡)したんです。多くのお客さまに利用できるプラットフォームとして提供してきたメリットが明らかになったと思いました。

大谷:確かに。業界特化型サービスだと、影響をそのまま受けてしまいますからね。

玉川:あと、大規模なお客さまももちろん大事なのですが、セルフサービスで使っていただいている大多数のお客さまが、サブスクリプションビジネスを支える安定感として大きかったです。

大谷:働き方に関しては影響ありましたか?

玉川:弊社の働き方に関しても、もともとリモートでやってきたので、実質はインパクトなかったです。

その一方で、社員同士でご飯食べたり、ハッピーアワーすることを大切にしてきた会社でもあるので、半年くらい経ってきたときに、やっぱり物足りないところが出てきた。信頼感をベースに、対話と議論が成り立っていたということが改めて浮き彫りになったんです。中長期的に、リモートワークの環境でこれらをどのように担保していくのかは最重要課題だと思っています。

大谷:具体的にやっていることはありますか?

玉川:リモートで毎日やっているデイリーシンクとか、2週間に1度、各部門の活動を報告するオールハンズ、Zoomを使ったカジュアルチャットとか、いろいろやっています。社員同士をランダムにマッチングさせて、コミュニケーションしてもらっています。人として、仕事仲間として、楽しく仲良くやっていけるように工夫しています。

この記事の編集者は以下の記事もオススメしています

過去記事アーカイブ

2024年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月