目が細い猫はカワイイのか!?
「猫が歩いた近現代」(真辺将之著 吉川弘文館)を読んでいたら「江戸から明治の猫の絵では、現代の猫の絵では決して描かれないような瞳孔の細い(あるいは丸くても小さい)猫が多い」とあった。確かに浮世絵の猫はみな目が細い。
じゃあ近代の猫の絵はどうなのかと、大正から昭和の猫をよく描いた藤田嗣治の絵を見ると、確かに丸い瞳の猫が多い。
確かに瞳が丸い方が可愛く見えるわけで、写真でも瞳が丸い方が可愛くて良いと聞いたことがある。猫の目は光にすごく敏感なので、明るい所では瞬時にキュッと細くなり、暗くなるにつれて徐々に開いてくる。ちょっとそういう視点で今まで撮った猫写真をチェックしてみた。
この猫、どちらも同じ日の同じような時刻に撮った写真(カメラは違うけど)。似た感じになるようトリミングしたのがこちら。1枚目は1月22日の16時8分。2枚目は16時56分。冬なのでこのあたりでぐぐっと暗くなっていくのだ。だから1枚目の方が瞳が細く、2枚目の方が丸い。
いやあ瞳が丸い方がめちゃ可愛いやん。
ではもっと極端に細いときと丸いときで比べてみたい。昼間はほんとに糸のように細くなるし、夜の屋外ともなるとまん丸になる。比較しやすいように黒猫同士をひっぱりだしてみた。異なる場所の異なる黒猫なのでその辺は割り引いてください。まずは細い方。もうほんとに糸のようである。ここまで細くなるのだ。
次は夜の黒猫。まんまるである。これ以上デカくなったらどこが目なのかわからなくなるくらい。
というわけで猫を可愛く撮るなら瞳が丸いとき……というのは簡単だけど、なかなか条件が厳しい。かなり暗くならないと目はまん丸にならないからね。
夜の公園猫。人なつこくてじっとしてくれていたのだけど、どうしてもISO感度をぐっと上げたりシャッタースピードを落としたりする必要があるから撮影難易度は高め。
室内の猫でも、部屋が明るいとなかなかまん丸にはならない。こちらは昭和な喫茶店の看板猫。店内が比較的暗めなので目も丸くなった。
瞳が丸いとなんとなく人なつこそうな感じがするよね。でも個人的に好きなのは細目。細目ならでは妖しい感じ、ワイルドさが猫っぽいと思うのだ。冒頭写真は今回の細目大賞にしたいくらいきれいな細目なんだけど、可愛いハチワレ顔とあやしい細い瞳のギャップがいい。
さらに、細い瞳だからこそ際立つワイルド写真もどうぞ。瞳が細いからこその迫力である。
そんなわけで、同じ猫でも瞳孔が細いときと丸いときで雰囲気が変わるので要チェック。糸のように細い瞳か、愛らしいまん丸な瞳か、その中間か、お好きな瞳をお選びください。
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筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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