■アフターコロナを見据えて足場を確保
KDDIとしては単にmenuの事業拡大を支援するだけでなく、au PAYやPontaポイント、1500万会員のサブスク「auスマートパス」と連携させ、au経済圏の拡大も図っています。アプリの画面上ではちょっとした変化に見えますが、今後の展開を見据えるとなかなか興味深い動きといえます。
というのも、経済再開に伴ってフードデリバリーの成長は鈍化する可能性があるためです。デリバリーでラクをすることを覚えた人は多く、お金で時間を買えるメリットは今後も変わらないとはいえ、それだけで成長が続くかは難しいところです。
その上、競争激化も予想されています。ドコモは出前館と組んでいた「dデリバリー」を6月に終了。foodpandaとFOODNEKOは事業統合で生き残りを図ったものの、米国最大手のDoorDashが配達員の募集を始めるなど日本上陸の準備を進めています。
スマホの画面には限りがあるため、頻繁に使わないフードデリバリーのアプリは隅に追いやられていくでしょう。ホーム画面の一等地に残れるのは1つか2つかもしれません。そこでau PAYのような「スーパーアプリ」との連携が重要になってくるわけです。
au PAYは単なる決済アプリを超えて、いろいろなサービスを統合したスーパーアプリとして存在感を高めています。menuはそこに加わることで、フードデリバリー市場で生き残るための足場を確保したといえるでしょう。

この連載の記事
-
第270回
スマホ
iPhone値上げ、Pixel躍進──2022年のスマホを振り返る -
第269回
Apple
アップル「iPad(第10世代)」なぜ値上げ? -
第268回
iPhone
iPhone「mini」ユーザーはどこへ向かうのか -
第267回
Apple
アップル「M2 MacBook Air」M1ユーザー視点でレビュー -
第266回
スマホ
iPhone値上げ 高コスパAndroidにチャンスはあるか -
第265回
Apple
アップル製品の「壁」を取り払う新機能に注目 #WWDC22 -
第264回
スマホ
メガネをかけると大画面? 「Nreal Air」を試した -
第263回
ビジネス
在庫不足のアップル、コスト増のアマゾン──GAFA決算、各社の課題浮き彫り -
第262回
PC
出張用のPCやモバイル回線を見直した -
第261回
Apple
アップル「Mac Studio」Mac miniから買い換える価値はある? -
第260回
スマホ
楽天モバイル「Apple Watch」は新たな強みになるか - この連載の一覧へ